死神のマリアージュ
「うわぁ」「すごーい」「あれがああなるんだ」「アートだねえ」
「よるちゃん、ホントにカフェの人みたい」「慣れた手さばきしてる!」
「・・・はい、これで全員分完成で~すっ!」
「素早い!」「なのに上手!」
「えっと、じゃあなのか。これ持って行ってくれる?」「承知しました~!」

嫌だ。あと数年で病死するとか。そんなこと、自分の身に起こってほしくない。

「ミヤコちゃーん、冷蔵庫の中にミニプリンが入ってるから、それも持ってきてもらえる~?」「はーい!」

若くして死にたくないって気持ちもあるけど、それ以上に私は・・・生きたい。
もっと長く、少なくともあと何十年かは生きていたい。

「あとは極門堂(ごくもんどう)のカステラ~♪もありますよ~」
「えーっ!?マジで!?」「やったあ!」
「私、カステラは極門堂のが一番好き」「私も~!」
「カステラは、私が一口サイズに切って持ってくね~。これで全部だから、あとのみんなはそのままリビングに戻ってくださいな~」「は~い!」

「人は可能性を選び続けながら生きている」って、ずっと前に父さんから聞いたことがある。
私が視た二つのビジョンは、どちらとも「起こるかもしれない」という(未来の)可能性に過ぎない。
だったら私は選ぶことができる。
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