死神のマリアージュ
「・・・ったぁ。雅希がまだ近くにいて。っておーい、まさき―」

さっき私が“視えたもの”、もしくは“現象”が何だったのか。
ウソか幻か、単に目の錯覚だったのかよく分からないまま、私は反射的に後ろを振り返った。
それでもやっぱり私には、さっきと同じように“視える”。
ということは、これって「現実」なの・・・?

「え。ちょっと雅希?どうした・・」「あ~っとわりいなよるっ。わざわざブラウス届けてくれて。サンキューなっ」
「あ・・・ううん、別にいいけど・・・。雅希、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。んじゃまたっ」「ちょっと待て」
「は。兄ちゃん何。今じゃないとダメなんか」
「ダメだ。どうも。俺は神谷一護。忍と雅希の兄です。ただいま大学一年生、ときどきモデルやってます。よるちゃん、キミの本名は?」
「え・・・っと、長峰美夜子、ですけど・・」
「キミが“ながみねみやこ”か・・ん、分かった。じゃあミヤコちゃん、今日はこれでバイバイなっ。日を改めてまた会おう」

そう一兄ちゃんは言うと、私たちは再び、車を停めているほうへと歩き始めた。
「・・・・・はい?なんで?」というよるちゃんの呟く声を背後で聞きながら。
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