死神のマリアージュ
「雅希」
「なに?」
「おまえは気にし過ぎ」
「え?」
「自分が思っているより他人は、自分のことを気にしてないってことだよ」
「また複雑なこと言ってる」
「あとはさっき言った“意図”と“認識”を忘れるな」

そう言って階段を上っていく銀兄ちゃんの後ろ姿を見送りながら、私は「うん」と呟いた。

特進クラスは階段側から向かって一番奥に教室がある。
今のところは“早い“と言える時間帯のせいか、生徒数はそれほど多くない。
必要以上に人が群がって来ないように、また余計な注目を集めないようにするため、私たち「高等部組」は始業時間よりもかなり早く家を出ていることも「意図」、なのかな。
プラス、なるべき人が通らない(少ない)ルートで自分たちの教室まで行ってるから、そのおかげで私たちが“朝つかまる”ことは、あまりない。
今日はいつもとちょっと違うルートを通ったせいで、忍はすぐつかまってたけど・・これも「意図」と「認識」なのかな。
なんて考えてるうちに、特進クラス2年の教室に着いた私は、開いているドアから教室内をのぞいてみた。
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