死神のマリアージュ
・・・ホント、銀兄ちゃんがさっき言ったとおり、他人は私のことをそんなに気にしてない。
けどこの人たちが私をエロい視線で見ていることも確かだ。
とにかく、綿貫さんはまだ来てないし、今ここに用はない。
この人たちのことはもう放っておこう。
ここにずっといると気分が悪くなるのは確実だから。
まだ朝のホームルームも始まってないのに・・ううん。

今日はまだ、界人に会ってないのに。
界人に会う前から気分が悪くなって「保健室に直行」したくない。

まだ「俺だ」「俺だ」と言い合いしている先輩たちを、自分でも分かるくらい冷めた目で見ながら「失礼しました」と言って軽く礼をした私は、サッサと踵を返して階段のほうへ歩き始めた。

「な、なんだあれ。感じわる~」
「でも顔可愛いから俺は許せる!」「スタイルも良いしな」

感じ悪いのはどっちよ!気味も悪いくせに!100万倍悪いのはそっちでしょ!

どうやら私は先輩たちのエロい欲望に加えて、「怒り」の気まで受け取ってしまったらしい。
今回は頭痛じゃなくて、胃から胸のあたりにかけて「ムカつき」始めた。
「頭にきた」より「腹が立ってる」ということなのかな。

あ~、胃のあたりがムカムカする。まるで消化不良を起こしたみたいに。教室に着いたら浄化作用がある家のお水を飲んだ方がいいかもしれない。持参している天然塩も一つまみ加えて。
なんて考えながら、ムカムカしている胸の真下(おへそより10cmくらい上)あたりを左手で押さえて幾分うつむき加減で歩いていたせいか、ちょうど階段から上って来た人と、お互いに正面からぶつかってしまった。

硬い胸板におでこが当たってしまった私が、そのまま勢いづいてしりもちをつく前に、その人が私の両肘あたりをつかんで支えてくれた。
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