死神のマリアージュ
「あ、ごめんなさい。えっと、タンザナイトが欲しいんです。ブレスレットを作りたいと思って」
「ほう。タンザナイトですか・・。神谷さん、初めてだよね、タンザナイト注文するのは」
「はい」
「タンザナイトが高価な宝石の部類なのは、神谷さんも知ってると思うけど」
「はい。だから私が買えるのは2つが精一杯だと思うので」
「なるほど。ブレスレットすべてにタンザナイトは使わないということだね?」
「はい。アクセントとして使います」
「分かりました。それではタンザナイトを最低1つ、多くても2つ。ブレスレット用ということでいいかな」
「はい、お願いします。あと、粒はなるべく大きめのがいいです」
「承知いたしました。ご注文ありがとうございます。神谷さんに相応しい、良質でグレードの高いタンザナイトを仕入れるよう、オーナーには今日伝えておくけど、あいにく今母は石の買い付けに行ってて、最低でもあと1週間は留守なんだ」
「大丈夫です。12月までに買えればいいから」
「12月って今年の?」
「はい。プレゼントに」
「てことは、彼氏へのクリスマスプレゼント?」
「それも兼ねて」
「あぁそっか。タンザナイトは12月の誕生石でもあるんだよね」
「はい。だからまだあいつには秘密です」
「そっかそっか」と言いながら何度もうなずく綿貫さんは、ニコニコ微笑んでいる。
さっき感じた「何か」が、まるでなかったかのように。
だから私もそのときは一瞬だけだけど、そのことは忘れていた。
「ほう。タンザナイトですか・・。神谷さん、初めてだよね、タンザナイト注文するのは」
「はい」
「タンザナイトが高価な宝石の部類なのは、神谷さんも知ってると思うけど」
「はい。だから私が買えるのは2つが精一杯だと思うので」
「なるほど。ブレスレットすべてにタンザナイトは使わないということだね?」
「はい。アクセントとして使います」
「分かりました。それではタンザナイトを最低1つ、多くても2つ。ブレスレット用ということでいいかな」
「はい、お願いします。あと、粒はなるべく大きめのがいいです」
「承知いたしました。ご注文ありがとうございます。神谷さんに相応しい、良質でグレードの高いタンザナイトを仕入れるよう、オーナーには今日伝えておくけど、あいにく今母は石の買い付けに行ってて、最低でもあと1週間は留守なんだ」
「大丈夫です。12月までに買えればいいから」
「12月って今年の?」
「はい。プレゼントに」
「てことは、彼氏へのクリスマスプレゼント?」
「それも兼ねて」
「あぁそっか。タンザナイトは12月の誕生石でもあるんだよね」
「はい。だからまだあいつには秘密です」
「そっかそっか」と言いながら何度もうなずく綿貫さんは、ニコニコ微笑んでいる。
さっき感じた「何か」が、まるでなかったかのように。
だから私もそのときは一瞬だけだけど、そのことは忘れていた。