死神のマリアージュ
実はお母さんの両親、だから私にとっては母方の祖父母(二人とも亡くなった)が、じいちゃんの別荘を管理していた時期もあったとじいちゃんから聞いたとき、私が「縁」と「つながり」を感じたのは言うまでもない。
お母さんはきっと、父さんと出会って結婚することが決まっていたんだ。
もし短い生涯を終えることになることが分かっていたとしても、私のお母さんならきっと、それでも父さんと結婚する人生を、迷うことなく選んでそうするって決めただろうな―――。

そういう理由からなのか、じいちゃんは私に別荘を遺してくれた。
でも私はまだ未成年ということもあって、今のところは父さんが、別荘の所有者兼管理責任者代理になってくれている。
まあそれでもじいちゃんがまだ生きてたときみたいに、別荘は家族全員で使っているのが実状だけど、家族みんなじいちゃんの別荘(じいちゃんが亡くなっても、ときどき「じいちゃんの」別荘と言ってるときがある)で過ごすことが好きだから、父さんも私も、それで全然構わない。

今年のゴールデンウィーク期間中は、武臣(たけおみ)叔父さん家族がじいちゃんの別荘で過ごすことになった。

武臣叔父さんと清良(きよら)おばさんから「雅希ちゃんも一緒に行かない?」と言われたのはもちろん嬉しかったし、妹や弟(本当はいとこ)から「まーねえちゃんもいっしょに行こうよー」と可愛く誘われたときは、さすがに一瞬「行こうかな」と心が揺らいだけど、結局家に残ることを私は選んだ。
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