死神のマリアージュ
キッチンに向かった二人の後ろ姿を見た私は、つい顔がほころんでしまった。
だって父さんと界人は、まるで親子みたいに仲良くしてるから。
それに二人はなんだか似ている。
鍛えている外見もだけど、まとう雰囲気と発している波動がとてもよく似ている。
力強くて優しくて、純粋な波動。
波動だけを視た(感じた)ら、「血のつながった父と息子」と言っても通用するんじゃない?というレベルだ。
そんな波動を持つ父さんが好きだから、私は界人に強く惹かれているのかもしれない。

「二人ともお昼食べたの」
「まだ食べてねえよ」
「じゃあ用意するね。界人も食べるでしょ」
「もちろんっ。やったぁ!雅希の手料理食べれるとか、やっぱ俺、今日は特に強運だ」
「あれは思いつきで言ったんだが・・こいつ、信じたのか」
「界人、その言いかたヘンだよ」
「え。どこが」
「この場合は“強運”より“ラッキー”とか“幸運”のほうが合ってる気がする」
「そうかあ?」
「どっちでもいいだろ。悪いこと言ってねえし」
「そうだね」
「あっさり引き下がった!」という界人のツッコミを聞きながら、今度は私がキッチンに行った。

そして二人はダイニングチェアに座った。
キッチンとダイニングの間は三分の二ほど壁で仕切られているけど、ほぼ続き部屋と言ってもいい。
キッチンにいてもダイニングにいる人たちの話声は聞こえるし、逆も言える。
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