死神のマリアージュ
「うわぁ、キレイにしてますねー。床はピカピカだし、柱とかツヤ光してる!」
「俺の娘が毎日掃除してくれるおかげだ」
「好きなの。一人で黙々とできる単純な作業が。それに拭き掃除って、拭くだけキレイになるって効果が目に見えるでしょ。単純な作業をしてるだけなのに。そういうのも好きなんだ」
「なるほどなぁ。なんか筋トレと似てるな」
「かもね。トレーニングの後だったらお腹空いてるでしょ。すぐ用意するから」
「こいつの言う“すぐ”って、ホントすぐだから」

父さんが言ったとおり、私は5分ほどで三人分のお昼を用意した。
朝作った豚汁は温めただけだし、ごはんは具(梅干)を挟んで握っただけだし、ブロッコリーはゆで終えてたから、この中ではたまご焼き作りに一番、時間がかかったと思う。

「いっただっきまーす!・・・んん、あったかいたまご焼きもウマい!」
「よく噛んで食えよ」「ふぁーい」
「父さんと界人のほうがホントの親子に見えるね」
「だろうな。過去生ではホントに親子だったからな」
「ホント?」「マジですか!?」
「ああ。もちろん、俺がおまえの父親で、おまえが俺の息子だった」
「へえ。じゃあ俺って、過去生でも男だったんですね」
「ツッコむところはそこなんだ」

界人は「浄化」って聞いても驚かないどころか普通に受け入れてたし、父さんと、世間話をするように、「過去生」の会話をしてる。
やっぱり天然だから?なのかな。
とにかく全然引いてないのは、「さすが界人」って言えるかも。
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