死神のマリアージュ

また人が薄く視えた

結局界人がうちを“訪問”したのは、ゴールデンウィーク初日だけだった。
でもいい、一度だけでもうちに招き入れたことで、界人は私の生涯のパートナーとして正式に認められたんだから。
しかも界人をうちに招いたのは私の父さんで、父さんは界人を「自分の娘の未来の夫」と認めてくれているだけでなく、界人のことをすでに「家族の一員」として受け入れてくれている。
元(過去生では)ホントの親子だっただけあって、二人は今世でも「父と息子」のように仲が良い。

「ねえ界人」
「ん?」
「界人は私と一緒になったらうちに住むことになるけど、それでもいいの」
「全然いいよ」
「うちは家族人口多いけど」
「俺、大人数の中で賑やかに暮らすのは慣れてるし」
「そうなの」
「うん。ほらうちの両親、宮城に移ってから“みんなの家”を運営してるだろ?」
「あ、そうだったね」
「施設の子たちと同居はしてなかったけどさ、俺もときどき手伝いに行ってたから。そういう意味で大家族と同居することは慣れてるよ」
「そう」

界人のご両親がアメリカから宮城に引っ越して、「みんなの家」の運営を始めたのは、父さんの元上司だったナツノさんの要望があったから。
それがきっかけで界人は「ゼロ課」という存在を知って興味を持ち、将来はゼロ課で働きたいと思うようになった。
だから界人は、高等部の入学式で私と9年ぶりに再会する「前」に、父さんとすでに再会を果たしていただけじゃなく、宮城に住んでたときから、私には内緒で連絡を取り合っていたのだ。
入学式の日、倒れた私を保健室に運んでくれたときには「二人とも」そういうそぶりを全然見せなかったくせに。
父さんと界人が仲良いのは、「元親子」だったからだけじゃなかったんだ。でも・・・。
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