死神のマリアージュ
「好きな人を愛することは恥ずかしいことじゃないもん」
「・・・やっぱおまえのほうがずるい」
「なにそれ」

また私たちは顔を見合わせて、クスクス笑った。
その後また告白し合い・・はしなくて、私たちはすぐそばにあるベンチに腰かけた。

「落ち着いたか」
「うん。父さんに連絡する」
「俺さっき頼雅さんにメッセ送っといた。あと15分くらいで来るって」
「そう。ありがと。ねえ界人」
「ん?」
「さっきのこと、父さんには言わないで。念を受け取って気分が悪くなったんじゃないから」

確かに今は、人が薄く視える突発的現象に対して、どうしたらいいのか分からない。
薄く視えた人に何を聞けばいいのか・・。
そもそも薄く視える人自身にとっては、それこそ突拍子もないことだし、私だけがそう視えてるんだから、その人自身に「自覚症状」なんてないはずだ。
そんな人(たち)に対して「実はあなたのことが薄く視えるんですけど」なんて言ってしまったら・・・別の意味で怖いし、私や界人の将来が、いろいろ面倒なことになるのは確実だろう。

第一人が薄く視えるという「意味」だって分からない。私自身も、薄く視える人自身も、お互いに。
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