死神のマリアージュ
「なんか、界人くんとつき合い始めてから雅希に界人くんの天然パワーが伝染してない?」
「“似たもの夫婦”の原理かな」「真珠も結構天然入ってるね~」
「でもそれ、言えてると思うよ。つまりお互いがお互いに影響を与え合ってるってことだよね。良くも悪くも」
「そういうこと。だから雅希は今、とってもステキな恋愛してるってことよ」
「じゃあ・・界人も今、ステキな恋愛してるってことになるのかな」
「キャーッ!あの雅希が照れてる~!」「しかも雅希が言ったセリフとは思えない~!」
「めっちゃカワイイぃ~!!」「もし私が男だったら絶対惚れてる!」
「そうだよ雅希。界人くんってすっごくイイ男ってことだね。あのツンデレ雅希をここまで素直にさせちゃうんだからっ」

・・・言うんじゃなかった、いや。
言う「とき」と「場所」を言う前に考えるべきだった・・・。
でも、仲良くしているクラスメイト全員(今は女子だけ)から、私だけじゃなくて界人のことも褒めてもらったことはとても嬉しい。
だから私の顔は、自然とほころんでいた。

「ところでさ、次はクラスのみんなで花火大会行こうって話だけど」
「あぁ、あれはやっぱ止めといたほうがいいんじゃない?」
「そうよね~、やっぱ花火大会っていうのはカップルで行くデートスポットだから」
「雅希は界人くんと行くんでしょ?」
「行かない。私は人多い場所苦手だから」
「あ、そうだったね」
「確かに花火を見に来る人は大勢いるから、雅希にとっては鬼門だよね」
「残念!雅希の浴衣姿見たかったのになぁ!」
「トトさま、それ完全に男目線のコメントだよ」「しかもアヅチが言いそうな」
「そっか。私じゃ役不足ってことだね」「ちょっと違うけど」
「まぁでもさ、花火大会はあと2ヶ月くらい先の話だから、行くかどうかは後で話しても良くない?男子も交えて」
「そうだね~」「賛成!」

界人は行きたいかな・・お弁当を食べるときにでも聞いてみよ。
と、私は頭の中にメモした。

そのとき、いつの間にか私の隣にいたクラスメイトのまリア充(安倍まりあ)が、私を小声で呼んだ。
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