死神のマリアージュ
「いつもありがとうございます、神谷雅希女史」
「結局みんな、きよみ女史が来るの待ってたようなもんだな」
「やっぱりこのメンバーでお昼食べるのが一番落ち着く」
「そうですね。神谷雅希女史がおっしゃりたいことは、私にもよく分かります。しかし、このメンバーでお昼を食べることができる期間は、残念ながら限られていますが」
「“期間限定”の流れで聞くけど。きよみ女史はもう進路決めたのか?」
「“大学には行かない”ということは、すでに決めています」
「えっ?きよみ女史、進学しないの?」
「はい。大学には行きません。特に学びたいこと(学科)もなく、また我が家には、私が大学に通うための金銭的な余裕もありませんから」
「あ・・そっか」
「奨学金は?きよみ女史くらい頭良かったら申し込めんじゃね?」
「どうやら奨学金は学力の有無に関係なく、申し込みは可能だそうです。先ほど近江智一氏がそのようにおっしゃっていました。ですが奨学金というのは後々返済する必要がありますから。言ってみれば借金してまで学びたい科目がない、というのが大学には行かないと決めた、一番大きな理由ですので」
「なるほどな」「納得」
「私も大学には行かないよ」
「えっ!?雅希ちゃんも!?」「なんで」
「大学ってここよりも絶対人が多いから」
「言われてみれば・・確かにそうだよね。教室も広くて大きい分、受ける学科によっては今のクラスの何倍もの人が講義を受けることもあるし」
「うん。だから受信機体質の私が女子大生になることはムリ。それに私もきよみ女史と同じで、大学に行ってまで勉強したい学科は特にないし」
「そっか・・。二人の進路を聞いたら、このメンバーでお昼を食べることができるのは、ホントに期間限定なんだなあって、ますます思っちゃった」
「そうだな」

ちょっとしんみりしてしまった雰囲気を払拭するように、私は「大丈夫」と断言した。
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