死神のマリアージュ
「てかきよみ女史って、ああいうのがタイプだったんか」
「外見は別として、私は綿貫雄馬氏のことは同類として好きですよ」
「同類?」
「はい」
「分かる。綿貫さんって秘書系が向いてるだけじゃなくて、秘書の仕事を心の底から好きでやってるってことが伝わってくるもん」
「“尽くされたい男”は“執事に向いてる”にも変換できます」
「それもよく分かる」
「確かに、綿貫さんは執事の恰好も似合いそうだな」
「また外見に戻るんか」
「忍も似合うよ。スラッとしてて姿勢も良いし、背高いし、顔も良いし」
「俺は?」「界人も似合う」
「・・・え。それだけ?忍んときみたいに色々”良いし“はねえの!?」
「ない。忍のときに全部言ったから」
「まーの略し過ぎキターッ!」
「今の俺は何気にしょげてるところ」
「そういう言葉は聞き慣れてるでしょ」
「俺は雅希に言ってほしかった!」「あ、そう」
「界人。まーはツンデレだから。二人っきりになったときに言ってもらえ」
「・・うん、そうする」
「ちょっと。二人で何コソコソ話してんの」
「兄弟の話」「兄から弟へのアドバイス」「ふーん」
「いつの間にか忍くんがお兄ちゃんで、界人くんが弟になってる!」
「なかなかの適役では」と言うきよみ女史に私は「そうだね」と答えつつ、頭の中は「綿貫さんが突然退学したこと」に対するショックや驚きなどの気持ち、そして「なぜ?」という疑問でいっぱいになっていた。
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