死神のマリアージュ
急いでお弁当を片づけた私は、立ち上がって「みんな」と言った。

「ありがとう。私は先に教室に戻るね。きよみ女史、また明日」
「ごきげんよう、神谷雅希女史」

駆け足で教室に戻り始めた私を呼ぶ、界人の声が聞こえる。
と思ったら、界人はすぐ私に追いついて、私の腕を掴んだ。

「雅希っ!」
「なに界人。私急いでるんだけど」
「俺もおまえと一緒に行く」
「なんで」
「俺はおまえの“彼”だから」

端的に凝縮されたシンプルな界人の返答ぶりに、私は「・・・分かった」と言うしかなかった。
実際は嬉しくて、とても心強いと思ってるのに。やっぱり素直じゃない、私は。

少しほころんでしまった顔を隠すように私がうつむいたとき、界人がそっと手をつないでくれた。
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