死神のマリアージュ
「だったら“海外留学説”が一番有力じゃない?“体裁”保てるし」
「まぁ面目丸つぶれにはならねえな」
「それに綿貫さんらしい選択だと思う」
「でもこの時期に、何の前触れもなく突然留学っていうのはなんか・・おかしくない?」
「それにさ、海外でも留学するんだったら、まりあちゃんに話してもいいと思うけど」
「でも留学するってことは、離れ離れになっちゃうってことだよ」
遠恋(えんれん)したくないんだったら別れ話すればいいじゃん。雄馬さんってそれすらしてないんでしょ?安倍ちゃんにもどうしたいかとか、どうするかって選んで決める権利あるよね」
「なのか、いいとこついてる!」
「となると、残ったのは転校説だけか・・・。転校でもお父さんの体裁は保てるし、都内近郊の名門高校なら“体裁保てる”に加えて“遠恋”になるわけでもない。まぁ会う機会は減るかもしれないけど」
「でもどの高校に転校したのかな」
「あ。高校名まではウワサ流れてない」
「慶葉と同レベルの名門校なら学校名出ても良くね?」
「実は雄馬さんって最近学力が下がってて、それが悩みの種だった、とか・・・」
「ていうか、退学・留学・転校、どれもすること自体はまリア充に話しても別によくない?」
「そうだよね。どれも人生の転機になるくらいの大切なことなんだからさ、つき合ってる彼女に話さないほうが不自然だよ」
「しかもそういうそぶりをいっこも見せてなかった、いうのも不自然どすやろ」

クラスのみんなが綿貫さんのウワサを“推測”し合ってる中、忍が私に「結局安倍ちゃんには会えたんか」とコッソリ聞いた。
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