死神のマリアージュ
天然石のコーナーは、レジ前のカウンターにあった。
そこにはすでにお客さんがいたけど、すでに買い物を終えたらしく、もう一人の店員さんがそのお客さんに「ありがとうございました。また来てね」と言ってるところだった。
そして「は~い」と答えたお客さんは、去り際に界人のことを「チラ見」から「しっかりチェック」していた。

界人はバイト先の「シャーデンフロイデ」でもお客さんからあんな風に見られてるのかな。見られることが多いよね、きっと。
でもその気持ちはよく分かる。だって界人は「見ごたえあるイケメン」だから。
たとえカノジョじゃなくてもつい見てしまうし、視線で追いかけたくなる・・。

「店長、こちらのお客様が天然石をご覧になりたいそうです~」
「はい分かりました。いらっしゃいませ」

この人が店長の松田さんか。ホームページに載ってた写真と同じ人だし、それにさっきもう一人のスタッフが「店長」って言ってたよね。

カウンター下はショーケースのようになっていて、キレイに鎮座している石たちが、ガラス越しから見える。
その中にはアクセサリー用の石も、いくつかあった。
でも「ウィザード」は石の専門店じゃないから、お店に置いてる石の数や種類はやっぱり少ない。だけど礼子さんが推薦したとおり、質は確かに良さそうだ。
ショーケース越しからでも心地良い“呼吸”を、この子たちから感じる。
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