死神のマリアージュ
「体力と視力は衰えたけど、幸いまだ体は動くから、その間に行きたいところに行っておきたいし、会いたい人に会っておきたいわ」
「どこに行きたいんですか」
「タンザニアへ、石の発掘現場にね」
「わぁ、ホントに!?」
「実際に石の発掘はしないわよ。体力がないから。だけどタンザナイトが発掘されているところを見学に行きたいの。実は私ね、昔は考古学者になりたいと思っていた時期があったのよ。でも私にはムリだって諦めてしまった。でも完全には諦めることができなくて。結局、石に関わることで、考古学者になりたかった自分の夢の一部を叶えた形になるのかもしれないわね」
「すごく・・すごくステキです」
タンザナイトは12月の誕生石だけど、私自身はずっと受け入れることができなかった。
理由は・・分かってる。
けど界人と出会ってから、ようやく自分にも「相応しい石だ」と思えるようになった。
だからタンザナイトって、個人的に思い入れがある特別な石なんだ。
「ねえ、雅希ちゃんは人が死ぬ間際で一番後悔することって何だと思う?」
「そうですね・・やり残したことや、やろうと思いながら結局何もやらなかったことを後悔するような人生は一番送りたくないってよく言いますよね」
「そのとおり。だけど“後悔すること自体が分からない”人生が、死ぬ間際に一番後悔すると思わない?」
「“ない”じゃなくて、“分からない”」と呟いた私に、松田さんは「そう!」と言った。
「“ない”と“分からない”。この違いはとても大きいって、私は思うのよ」
「どこに行きたいんですか」
「タンザニアへ、石の発掘現場にね」
「わぁ、ホントに!?」
「実際に石の発掘はしないわよ。体力がないから。だけどタンザナイトが発掘されているところを見学に行きたいの。実は私ね、昔は考古学者になりたいと思っていた時期があったのよ。でも私にはムリだって諦めてしまった。でも完全には諦めることができなくて。結局、石に関わることで、考古学者になりたかった自分の夢の一部を叶えた形になるのかもしれないわね」
「すごく・・すごくステキです」
タンザナイトは12月の誕生石だけど、私自身はずっと受け入れることができなかった。
理由は・・分かってる。
けど界人と出会ってから、ようやく自分にも「相応しい石だ」と思えるようになった。
だからタンザナイトって、個人的に思い入れがある特別な石なんだ。
「ねえ、雅希ちゃんは人が死ぬ間際で一番後悔することって何だと思う?」
「そうですね・・やり残したことや、やろうと思いながら結局何もやらなかったことを後悔するような人生は一番送りたくないってよく言いますよね」
「そのとおり。だけど“後悔すること自体が分からない”人生が、死ぬ間際に一番後悔すると思わない?」
「“ない”じゃなくて、“分からない”」と呟いた私に、松田さんは「そう!」と言った。
「“ない”と“分からない”。この違いはとても大きいって、私は思うのよ」