死神のマリアージュ
「で、界人は今、どこに住んでんの?前住んでた家?」
「いいや。今は玄武岳(げんぶだけ)に住んでる。兄ちゃんたちの家に間借りさせてもらってるんだ」
「そっか。ま、神谷家がある上神楽坂(かみかぐらざか)とは方向が反対になっただけで、距離的にはまだ“ご近所さん”と言えるな。ギリもギリだが」
「界人は真珠と飛鳥さんと一緒に暮らしてるんだ」
「えっ?そっち?てことはちょっと待てよ?おまえの両親はどうした」
「まだ宮城にいる」
「宮城!?そりゃあ遠いところに住んでんな~」
「うん。“気に入った”んだって。それでアメリカから帰国して以来、ずっと宮城にいるよ。でも俺は高校の3年だけでもいいから、どうしても慶葉に行きたかった。それで両親に何回も説得を試みた結果、兄ちゃんのところに居候させてもらうことを条件で、父さんと母さんは俺が慶葉に行くことをやっと許してくれたんだ。とは言っても、二人を説得できたかどうかはいまだに分かんねえし、俺のせいで兄ちゃんと真珠ちゃんの二人暮らしを邪魔してることは申し訳ないと思ってる。ごめんな、真珠ちゃん」
「だからね、それは気にしないでいいって言ってるでしょ!私たち家族なんだよ?」
「それよりさ、なぜに界人は、そこまで慶葉に入りたかったん?」
「それは・・・会いたかったから。まーちゃ、雅希に」
< 26 / 359 >

この作品をシェア

pagetop