死神のマリアージュ
「今日まリア充が学園に来たんだ」
「神谷雅希女史がおっしゃる“まリア充”とは、綿貫雄馬氏の(もしかしたら元)カノジョさんの、安倍まりあ女史のことですね?」
「うん。まリア充は今週になってずっと休んでたから。気にはなってたけどまわりがどうこう言ったり強要することじゃないし」
「そうだよね。私たちはただ、まりあちゃんの意思を尊重して見守ることしかできないもんね」
「ですが安倍まりあ女史は、再びいつでも”気軽に“戻って来れる場所があること、そして自分を受け入れてくれる仲間の存在という、大事な二つの要素があると気づいたのでしょう。だからこそ、今日再び学園に来たのだと思いますよ」
「そうだね。“まだ完全には立ち直ってない”って本人言ってたし、私もそう思うけど・・」
「時間が薬になるよ。それから雅希ちゃんがまりあちゃんにプレゼントしてた手作りのブレスレットも、きっとまりあちゃんの心の傷を癒す手助けをしてくれると思う」と言ってくれた真珠に私は頷いて「ありがとう」と言った。

「ねえきよみ女史」
「なんでしょう、神谷雅希女史」
「綿貫さん、やっぱり今日も学園には来てないんだよね」
「来ていません。綿貫雄馬氏の席は、まだ空いたままです。それからこれは綿貫雄馬氏の件と関係はないと思いますが」「何」「言って、きよみ女史っ」
「では・・。実は私のクラスの担任の近江智一氏が入院するとのことで」
「え・・・」
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