死神のマリアージュ
「おそらく明日の土曜から入院すると思うのですが、とにかく近江智一氏は来週からしばらくの間、学園を休むことになると、今朝のホームルームで発表されました」

2年特進クラス担任の近江先生といえば、私が「学園内で唯一薄く視える人」。
その近江先生が入院する?
「入院」と「薄く視える」ことは関係あるのかな・・・。

「近江先生は病気なの」
「どうでしょう。近江智一氏が具合を悪くしている様子は、今まで見たことがありません。しかし入院するということは、やはり病気、ということでしょう。少なくとも骨折等の怪我が理由で入院するのではありませんから」
「そう」
「なぜにまーは近江先生のことが気になる」
「別に・・・気にしてない」
「あ、そ」
「じゃあ近江先生が休んでる間は、誰が担任の代わりになるの?」
「副担任の八代(やしろ)美津子女史です」
「そう」「やっぱり私の知らない先生だ・・」

「人が薄く視えること」と「入院」もしくは「病気」が関係してるのか、これ以上考えても分かんないから、そのことについて考えることを止めた私は、ひとまず目の前のこと――お弁当を食べること――に専念してる間に、やっと界人が来た。
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