死神のマリアージュ
これはなかなかいいアイデアだと思う。
だって人の気や念を受け取り過ぎる受信機体質の私は、大学へ進学することはまずムリだ。
慶葉よりも広大なキャンパスで、特進クラスより大勢の生徒と一緒に勉強すると考えただけで頭が重たくなってくる。
きよみ女史と同じく「こういうことを勉強したい」と思う学科もないのは幸いだった。

同じ理由で、私は人が多い場所はもちろん、人が集まる場所も過ごせないから、大企業で働くこともできないと思う。
かといって「中小」な規模の会社に就職することも・・・たぶんできない。
だって私には協調性がないから、そういう反抗的で生意気な、可愛気のない女子を雇いたがる社長はいないよね。
それに販売系の店員になることも・・・そもそも無愛想なくせに人の念を受けた途端、気分が悪くなる、接客業が超ど下手な私には絶望的にムリな話だ。
つまり私は「企業に属すること」自体がムリってこと・・・あ。
ということは私って、「就職」とか「アルバイト」または「パート勤め」が「できない」女ってことじゃない。
そして「大学進学」もムリ。ていうか「できない」―――。

「私は就職も進学もできない」という、私にとっては衝撃的な事実であり真実に思い至った私は、ローズクォーツを左手に持ったまま、動きが止まってしまった。
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