死神のマリアージュ
私は目を凝らして石を並べているデザインボードと、作成中のブレスレット、両方とも見た。何度も。
だけどやっぱりアクアマリンが一つ、なくなってる。

ブレスレットを作り始めるときまで、アクアマリンは確かに「二つ」あった。
私は絶対に二つともデザインボードに置いた。これは確かな事実だ。
それなのに今、アクアマリンの一つはブレスレットの一部としてオペロンに通されていて、あるはずのもう一つは、忽然と姿を消してしまった―――。

万が一ということも、たぶんある。
だから私は“念のため”に手持ちの石を置いてる棚を見てみた。
けど何度見ても、やっぱりそこにアクアマリンはない。

今まで石にヒビが入ったり割れたことは、何度かある。
だけど目の前にあった石が突然、忽然と姿を消してなくなったのは、これが初めてだ。
なにこれ。アクアマリンは私に何を伝えたいんだろ・・・。

分かんないからひとまず・・・水だ。
「アクアマリン」は「水」に関係する名前だから、水に関係すること、水に触れることで何かヒントを得られるかも。
顔と手を洗って「目を覚まし」て、それからお水を飲んで・・・。

自分の部屋にあるお風呂場のほうへ歩きかけた私の足が、途中で止まった。
私の目(視線)は、同じく部屋に置いてるタンスの上に釘づけだ。
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