死神のマリアージュ
「なんだよ」
「・・・“なんだよ”じゃないでしょ。仕事は?」
「フィジカルトレーニングの指導は非番のときしかしてねえから、今日は元々“仕事休み”だ」
「あ・・・そぅ」
「だがトレーニングの指導役を他のヤツに頼む必要あるから、そのための電話連絡してくる」
「私ならもう大丈夫だって・・・」
「あのなぁ雅希」
「・・・なに、父さん」
「おまえは“大丈夫”と言ってるが全然説得力ねえんだよ」
「父さん・・・」
「おまえはかなり狼狽えていた」
「根拠は」
「俺のこと“お父さん”って呼んだだろ」
「あ・・」
「しかもおまえは“お父さん”を連呼したうえ、ついさっきまで俺のことを“お父さん”と言った」
「え、そうだっけ。覚えてない」
「ったく白々しい言いかたしやがって。おまえが狼狽えてるときや不安がってるときは、“父さん”が“お父さん”になるってことくらい、俺は学習済みなんだよ」と得意気に言う父さんを、私は睨み見ることでしか、自分を応戦することができなかった。
だって父さんが言うことは当たってるから。
「・・・“なんだよ”じゃないでしょ。仕事は?」
「フィジカルトレーニングの指導は非番のときしかしてねえから、今日は元々“仕事休み”だ」
「あ・・・そぅ」
「だがトレーニングの指導役を他のヤツに頼む必要あるから、そのための電話連絡してくる」
「私ならもう大丈夫だって・・・」
「あのなぁ雅希」
「・・・なに、父さん」
「おまえは“大丈夫”と言ってるが全然説得力ねえんだよ」
「父さん・・・」
「おまえはかなり狼狽えていた」
「根拠は」
「俺のこと“お父さん”って呼んだだろ」
「あ・・」
「しかもおまえは“お父さん”を連呼したうえ、ついさっきまで俺のことを“お父さん”と言った」
「え、そうだっけ。覚えてない」
「ったく白々しい言いかたしやがって。おまえが狼狽えてるときや不安がってるときは、“父さん”が“お父さん”になるってことくらい、俺は学習済みなんだよ」と得意気に言う父さんを、私は睨み見ることでしか、自分を応戦することができなかった。
だって父さんが言うことは当たってるから。