死神のマリアージュ
「それにな、滅多に泣かねえ俺の娘があんなに大泣きしたところを初めて目の当たりにしたんだ、“お父さん”がなくてもおまえに何かあったことくらい、父親の俺じゃなくても分かる」
「そっか・・そう、だよね。ごめん、父さん。心配かけて」と言う私の頭を父さんはクシャッと一撫ですると「電話かけてくる」と言って、私の部屋から出た。

そして父さんは、私の部屋から出るとすぐにまた私のほうを振り返って「父さんはできる限りすぐ戻るからな。それまでおまえは部屋から絶対出るなよ」と言い残すと、今度こそ、私の部屋から離れて行った。
< 288 / 359 >

この作品をシェア

pagetop