死神のマリアージュ
「あのときはホントに気のせい?って思ったくらい、ホントに一瞬だった。けどそれより私が気になるのは、あのとき松田さん、私が薄く視えるくらいの強い絶望感なんて抱いてなかったと思うんだ。気分が落ち込むような話もしてなかったし。むしろ逆で」
「“気分が上がるような話”か」
「うん、まあそういう話」
「できれば具体的に聞かせてもらえませんか?もし差し支えなければ」
「あ、うん。えっと、松田さんはお店を閉めるかどうかは知らないけど、とにかく店主の仕事を退いてタンザニアに行くんだって」
「へえ」
「前からタンザナイトの発掘作業を見たいって思ってたらしくて、やっと実現するって嬉しそうに話してくれたし、すごく意欲的に見えたよ」
「タンザナイトって石だよな。石好きなおまえと気が合うんじゃねえか?」
「うん、私もそう思った。ホントね、松田さんって72歳とは思えないくらい若々しい女性で、あの年齢でも背筋は伸びててキレイな姿勢してたし、オシャレな服着てて身だしなみもきちんとしてて、すごく優雅な仕草だった。そういえばあのとき。界人ってば松田さんの黒髪見て、“白髪が全然ない”とか本人に言ってるし。染めてるに決まってるでしょ?もうホントに天然なんだから、あいつは」
「“気分が上がるような話”か」
「うん、まあそういう話」
「できれば具体的に聞かせてもらえませんか?もし差し支えなければ」
「あ、うん。えっと、松田さんはお店を閉めるかどうかは知らないけど、とにかく店主の仕事を退いてタンザニアに行くんだって」
「へえ」
「前からタンザナイトの発掘作業を見たいって思ってたらしくて、やっと実現するって嬉しそうに話してくれたし、すごく意欲的に見えたよ」
「タンザナイトって石だよな。石好きなおまえと気が合うんじゃねえか?」
「うん、私もそう思った。ホントね、松田さんって72歳とは思えないくらい若々しい女性で、あの年齢でも背筋は伸びててキレイな姿勢してたし、オシャレな服着てて身だしなみもきちんとしてて、すごく優雅な仕草だった。そういえばあのとき。界人ってば松田さんの黒髪見て、“白髪が全然ない”とか本人に言ってるし。染めてるに決まってるでしょ?もうホントに天然なんだから、あいつは」