死神のマリアージュ
「・・・ねえ、頼人叔父さん」
「なんでしょう雅希ちゃん」
「薄く視えた人は絶望感からなのか、それとも寿命なのかって区別はつくの?どうすれば、どっちなのかが分かるの?」
「それは私にも分かりません。でも雅希ちゃんの話を聞いた限りで私が推測したところ、先ほどの松田さんという方は寿命でしょう」
「つまり死期が近いってことだな」
「はい。いくら健康そうに見えても72という年齢から、その可能性が高いです。そしておそらく本人も、死期が近いことを、少なくとも本能的には察していると思います」
「で、そのとき雅希は松田さんのことが一瞬薄く視えたんだな」
「そうでしょうね」
「だから・・・死ぬ前に、まだ体が動く元気なうちに、前からやりたかったタンザニア行きを実現させようって、松田さんは決めたのかな」
「だろうな」
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