死神のマリアージュ
「雅希」
「なに、父さん」
「死のビジョンを視たときのおまえは、まだ若かったのか」
「たぶん。今とそんなに変わらない顔だったから、19か20歳くらいだと思うんだけど」
「そっか。死因は分かるか」
「これもたぶんだけど病死だと思う。病室のベッドみたいなところに私、寝てたから」
「おまえ、今健康だよな」
「うん」
「オーラにも“異常”は視えねえし」
「確かに」
「てことは、そのビジョンは“おまえの人生になんか大きな変化が訪れるぞ”というメッセージみたいなもんじゃねえかと俺は思うんだが。頼人はどう思う?」
「その可能性も十分にありますよ。ちょうど未来のビジョンが視えた日から、人が薄く視える現象も始まったのだし」
「それだけでも私にとってはすごく大きな変化だよ」と、私は実感を込めて言った。
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