死神のマリアージュ
私に起こった「奇跡」はまだある。
人が薄く視える現象も、それ以来ピタッと止んだ。
だからその人の「寿命」が尽きるのか、それとも「(強く)絶望」しているから薄く視えるかは、結局分からないままだけど、この現象自体が起こらなくなったことが重要だから、区別できなくても構わない。
それに「寿命か絶望」っていうのも、あくまで「そうではないか」という推測の域でしかない。
だけど、「本当の意味」まで知らなくてもいいっていうか、本当の意味を知らないうちに、人が薄く視える現象が起こらなくなって良かったと思ってる。

そういうわけで、同じ人がまだ薄く「視え続ける」かどうかまでは、その人と偶然でも再会していないから、今のところは分からない。
ちなみに、頼人叔父さんの妻で慶葉学園の理事長を務める、めいおばさんからの情報によると、私が薄く視え続けた唯一の人物である近江先生(2年特進クラスの担任だった)は「病気で」入院している。
めいおばさんから「それ以上のことは今はまだ私の口から言えない」と言われたから、近江先生の病状や病名は詳しく分からないけど・・・どうやら近江先生が薄く視え続けたのは、「絶望」よりも「寿命」が尽きつつある可能性のほうが強いようだ。ってこれも推測の域でしかないけど、一緒に聞いてくれた父さんも、私が聞く前に、私と同じ判断をしてたし。
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