死神のマリアージュ
あと、年齢的に「寿命」で薄く視えたと思われる70代の松田さんは、すでにタンザニアへ出発しているため、あれ以来会っていないから確かめようがない。
でも松田さんの孫娘である遠藤スミレからは「おばあちゃん?全然元気だよ」と聞いたから、ひとまず安心している。

そうそう、遠藤スミレのことだけど・・・。
月曜日に学園で会った遠藤さんに、「美味しい白桃を選んでくれてありがとう」とお礼を言った。
これは私自身と「約束してたこと」だし、私のために誠意を尽くしてくれたことに対して感謝の気持ちを伝える――お礼を言う――のは当然のことだと、私は思ってる(ただし、再び会うことが分かっている人に対しての話)。
だから私としては、個人的な約束を果たした時点で遠藤さんとの“かかわり”は、もう終わったはずだった。
けど遠藤さんにとって、それは「始まり」だったみたいで・・・。

「やっぱりわたし、“神谷雅希ファンクラブ”を立ち上げるから!」と遠藤さんに「宣言された」私は、たっぷり5秒は黙った挙句に「・・・・・・は」というリアクションしかできなかった。
< 357 / 359 >

この作品をシェア

pagetop