死神のマリアージュ
スポーツは嫌いじゃない。
むしろ体を動かすことは好きなほうだ。
けど体育の授業は、あまり好きじゃない。
私の体操着姿を見た男子生徒のエロい視線や、女子生徒から妬みの気をたくさん受けまくるせいで、平常心や集中力を保ち続けることが難しくなるから。

私は深くて不快なため息を、ハァとついた。

「うーんと・・・1メートル90、ってとこだね。長峰、書いといて」
「はーい。相変わらず飛ぶねぇ、雅希ぃ。重そうな胸持ってんのに実は身軽なんだからっ」と言ったのは、クラスメイトの長峰美夜子(ながみねみやこ)だ。
 
姉後肌気質の通称「よるちゃん」は、面倒見が良くサッパリした性格で、特進クラスの女子リーダー的存在だ。実際よるちゃんは、特進クラスのクラス委員長(女子の)をしている。
そしてよるちゃんは、思ってることと言うことに「裏」とか「違い」が感じられないから、よるちゃんに胸のことをからかい口調で言われても、そこに悪意を感じない。
だから私はちっともムカつかないし、気分が悪くなったこともない。
それどころか、いつも私を「護ってくれてる念」を受け取っている気がする。
私にとってよるちゃんは、頼もしくてありがたい、中等部1年生のときから仲良くしているクラスメイトの一人だ。
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