死神のマリアージュ
慶葉(けいよう)学園は大学(一部の生徒のみ)までエスカレーター式だから(もちろん中学や高校から編入することもできる)、初等部から生徒のメンバーは、ほぼ変わらない。
だから中等部卒業式で、私が忍にゲロってしまったことは、ここにいるほぼ全員――およそ生徒の9割――が知っている。
高等部の入学式では、私の予想どおり吐かなかったけど、一度でも作ってしまった過去の黒歴史は、そう簡単に消えやしないし、みんな忘れようともしない。
それを作った人が、特に同性には疎まれている場合はなおさらだ。

私の黒い歴史を掘り返したり、あることないことウワサしたり。
人を“お気に入りの”おもちゃか道具のように、ヤラシイ目つきでチラチラ見る。
周囲から、そんな想念や視線を受けるたびに、私の気分はどんどん悪くなっていく。
頭もズキズキ痛みだした。

もうダメだ。耐えられそうにない。
私、倒れそう。いや、倒れる。今、すぐ・・・。

薄れていく意識の中で、私は「まーちゃん!」という低い声が聞こえるほうへと、自然に体が倒れていた。
< 8 / 359 >

この作品をシェア

pagetop