死神のマリアージュ
「おっ、あれ界人じゃね?」
「うん、そうだね」
「おー・・っと?」

大声出して界人を呼ぼうとしている忍の口を、私はすぐさま手で塞いだ。

「まー?なんだよ」
「邪魔しちゃダメ」
「えぇ?でもなんかさ、界人困ってるっぽくね?」
「自分で対処できるでしょ」
「うわー。まーつめてー」
「それに私たちが邪魔しなくても、あいつはすぐ来る。もうすぐ始業時間だし」
「あ、なあるほどお。んじゃ教室で、どう断ったか聞いてみよっ」
「物好き」
「まーは興味ねえのか?あいつ、すでに結構モテる男子だぜ~」
「知ってる」
「ヤキモキするっしょ」
「なんで私が」

ちょうど髪を束ねて一つ結びをしているあたりの後頭部に、大きな右手を置いてる界人の後ろ姿を私はチラッと見ると、「教室行こ」と忍に言った。

「早くしないと下駄箱に人が増えるし、忍も言い寄られると困るでしょ」
「あ、そーだな。行こ行こ」
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