死神のマリアージュ
「・・・俺、間に合った?」
「キタ天然!」
「開口一番がこれだもんねえ。センセーまだ来てないよ」
「良かったあ」
「でもそろそろセンセー来んじゃね?」
「そうだね」とよるちゃんが言ったのを合図にしたように、みんな自分の席に戻った。

「うおっす!モテる男、界人くんっ」
「がー。それは言わないでくれ・・・」と言いながら座った界人は、顔を机に突っ伏した。

忍はそんな界人のチョンマゲを軽く引っ張りながら、「で?で?」と詰め寄る。

「・・・疲れた」
「まだ学校始まってねえってのに・・おっ、センセー来た!」
「きりーつ」「礼~」
「おはようございま~す」「はい、おはようございます!」
「着席―」

日直の号令で、みんな一斉に自分の席に座った。
と同時に、忍が後ろを向いて、「“今日は”なんて言って断ったのかなあ?」と界人に小声で聞いている。

「忍は“いつも”なんて言って断ってんの」
「それはもちろん“企業秘密”」
「じゃあ俺は“黙秘“する」と界人が言ったとき、私はこらえきれなくなって、つい顔をほころばせてしまった。
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