元姫に溺れるほどの愛を

新たな出会い

澪side

いつの間にか降り出した雨に濡れながら家に帰ると誰もいなかった

久しぶりに帰ってきた暗い家の中は更に私がひとりぼっちなように感じた

帰ってきたくなんてなかった、昴の家に泊めさせて貰ったり、溜まり場で寝泊まりしてなんとかかえってこなくてよかったのに…

またこの家で暮らすことになるのかと思えば恐怖で身体の動きが鈍くなる

着替え、ないと…

とにかく、濡れた服が肌にぺったりと付いて気持ち悪い

二階の自室に行き、部屋着に着替える

お風呂も入らないと、髪も拭いて…

やらないといけないことは分かっているのに身体が動かない

…疲れちゃった

ベッドに倒れ込むように身体を預ける

乾かさないと身体冷えるのに…

風邪なんて引いたら後から面倒くさいと分かっているけれど、みんなの顔を見ないでいいから都合もいい

このまま風邪を引いて学校休んで、距離を取れればこの胸の痛みも少しは和らいでくれるかも知れない