先生の一途な愛情

「ルミさんとお呼びしても?」
「はい、えっと何とお呼びすれば良いですか?」
「先生と、でも。あそこの大学の講師なんです僕」

 ふふっと悪戯っぽく笑いながら先生は、近くの大学の方を指差す。確かに、あそこらへんには大学があったはずだ。

「ルミさん、連絡するのでそれまでハンカチは預かっておいてください。講義に遅れてしまうので、僕は行きますね」

 軽やかな足取りで走り出す先生の後ろ姿を見送る。スマホに目を落として交換した連絡先を確認すれば、新しく登録された名前にも、どこか聞き覚えがあった。

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