毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい
それとなく話を終わらせたかったのに、私にまで食い気味に聞いてくる昴さんは、まるで性に盛んな男子学生のようだ。
「おまえ、顔良いからモテんじゃね?」
「顔良いって、なんか言い方古臭いですよ……」
「だから戦闘機のことを、話したら白い目で見られるんですって」と、一度した話題を掘り返してみると、昴さんは思い出したようにまた頷いていた。
「言っとくけど、俺はまだ三十だ! おっさんじゃねぇからな」
「す、すみません……」
誰もおっさんだとは言っていないけど、反射的に謝ってしまった。こんな男子学生のような感性を持つ人をおっさん呼ばわりはできない。さすがにもう性の話題は出さないだろうと肩の荷を落としていると、「俺は……」と、昴さんはまた口を開いた。
「はい……?」
「俺は高校を卒業した後、防衛大に入ったから体力だけはバカみたいにあるんだよ」
「あっ……だから若いのに幹部なんですね! 防衛大卒ってエリートじゃないですか!」
「いや、えーっと、そうじゃなくて……」
歯切れの悪い言い方をする昴さん。何を言いたいのか黙っているとハアーと深く息を吐かれた。