毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい


 それに、どうしても聞きたいことがあった。

「もし抱かれたら……私は昴さんと付き合うということでしょうか?」

 恋愛経験ゼロの私には、一回抱かれてみるの意味が分からなかった。もう少し言い方を考えるはずだったのにも関わらず、心の声がそのまま口に出てしまい、慌てて手で口を抑える。

 昴さんは顔を歪めていた。その顔を見て、私の頭はお花畑なんだと思い知った。

 現実はドラマみたいに、そう、上手くいくわけじゃないんだなとも思った。

「パイロット好きじゃあ、柏は理想だな。けど、おまえでも俺と付き合うのは耐えきれないと思う」

「……え?」

「言ったろ、俺、夜が満足しないって。愛想尽かすに決まってるし、もし付き合ったとしても、こんな職種だから数週間、数ヶ月いないなんてことはザラだろ。連絡もマメに返せるわけじゃねぇし、絶対嫌な思いもさせる」

 昴さんはきっと、過去の女性を思い出して今後の私との未来を比較しているんだろうけど、私は元パイロット候補生。比較してもらっても困る。

 でもそれ以前に、昴さんは私に恋愛感情を抱いているわけではない。私も昴さんのことは人としてもパイロットとしても言い表せれないくらい尊敬している。けれど、これが恋愛感情かと聞かれれば、多分そうではない。

 『1回抱かれてみないか』って言ってくれたのに、困らせる発言だった。

 もっとちゃんと考えてから言えばよかった。


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