毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい
練習機による操縦の訓練が始まり、教官に教わりながら覚えていく。
けれど、乗るたびに「航空機の位置や姿勢を正しく認識できてねぇぞ!」と怒られることが増えていった。
「小さいミスが事故の原因になるんだよ。国民を傷つけることがあったらどうすんだ? 俺たちは国民を守るためにいるんだよな!? わかってんのか?」
「ハイ! スミマセン!」
注意を受ける度に、私の精神状態は崩れていく。次第にやめる道しか考えられなくなっていた。
ある日「適性がない」と、そう告げられた時は肩の荷が降りたような感覚だった。
――パイロットになるということは、生半可な気持ちではなれない。とてつもなく厳しい世界だと思う。
あれから二年経つ。けれど、一度たりともパイロットが頭から離れたことはない。
もっと空と一つになりたかった。
たくさん飛びたかった。