毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい
俺の休みは一週間。
その一週間は柏のために時間を使うと決めた。
***
「俺まだ休みあるし、柏と一緒にいたいし、店でも手伝うわ」
「何言ってるんですか! 休んでくださいよ! お店は手伝うほどいつも混みませんし」
翌日になり、店に顔を出し開店準備を始めようとするも、柏に押し切られてしまった。
いつも混まないって……
混んでくれなきゃヤバイだろ。店潰れるだろ。仕方なく、机の台を拭く柏を眺める。
今、母さんは裏で親父の手伝いをしていて表にはいない。なので、気になってることを聞いてみることにした。
「柏、体平気なのか?」
「えっ、体ですか!? まあ、まだ腰痛いですけど、大丈夫です!」
……なんだ、この負けた感じは。やっぱりもっと抱けば良かった。
柏は手際良く作業をしている。俺は、数えるくらいしかこの店を手伝ったことがない。
――もし、パイロットを引退した後、俺はどうすんだろう。地に残るんだろうか、それともきっぱりと自衛官をやめるんだろうか。この店を継ぐこともあるだろうか。
まだそんな先のことは考えられないけど、それでも俺はやっぱり柏と一緒にいたい。