毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい


「私は……わ、分かりません」

「俺は、おまえは救難が向いてるって思ったよ。パイロットはパイロットでも、色んな種類がある。戦闘機だけがパイロットってわけじゃない」

「……は、はい」

「希望通りに進むことができるヤツなんて一握りだし、防衛大にいた頃なんて否を言わさず陸・海・空に分けられるからな。空に行きたかったのに、海に回されるやつもいるし、陸に回されるやつもいる。上手くいかないもんだよな」

 昴さんは過去を思い出しては、遠くを見つめていた。

 否を言わさず分けられる……
 その点、少しでも操縦機のことについて学べた私は、ラッキーだったのかもしれない。

「どうして私が救難に向いてるって思ったんですか?」

 ふと質問を投げかけると、昴さんは「救難って顔してるから」と、笑った。

 ……救難って顔をしていると言われても、どういう顔か全然分からない。

「救難はもし俺に何かあったらすぐに駆けつけてくれる部隊だ。柏なら、一番に駆け寄って心配しそうだなって思っただけ」


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