毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい



 ……昴さんを、一番に助けれる部隊。その言葉を聞いて、今からでも救難に進みたいと思った。


「あ、あの、今からでも救難に進めるんですか!?」

「救難独自の応募条件は、空曹、空士長。更に、クロール500メートルを12分以内、横潜水25メートル以上、水深4メートルで呼吸停止30秒以上、立泳ぎ5分以上。懸垂10回以上、腕立て伏せ40回以上、腹筋45回以上、かがみ跳躍45回以上、300メートル走64秒以内などが、試験として組み込まれてる」

「……そ、そうなんですか。空曹、空士長でもないですし、そんな過酷な試験……私は無理ですよね……」

 一種の光が見えたけど、そもそも私は飛行訓練過程まで進めていない。

 どこまでも中途半端の自分に呆れてしまう。ハアと深くため息を吐いていると、また昴さんからククッと笑われた。

「そんなに俺のこと心配してくれるんだ?」

「当たり前じゃないですか!」


 なんだろう。上手く言えないけれど、さっきから妙にからかわれているような気がする。

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