毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい
「いたっ!? 昴さん、痛いです!」
「ごめん、つい、嬉しくて。今日はもう店戻らなくて良いんだよな」
「はい。今日はもう上がっていいっておばさんから言われてて……」
「よし。じゃあ一緒に来てほしいところがあるから向かうか」
――そう言って連れてこられた場所は、有名ブランドのジュエリー店だった。
「……昴さん、ここは?」
「指輪。俺達の婚約指輪買いに来た」
まるで前々から決めていただろうというような、そんな口ぶりで昴さんは私の背中に手を置き、入るように促した。
突然のことで頭がついていかない。
婚約指輪ってことは……私、今から昴さんにプロポーズされるの? あれ、プロポーズってされる前に指輪を買っちゃうの?
初めてだから全然分からない。でも、昴さんは指輪を渡したことがあるのかもしれない。だから、今こうして当たり前のように選んでいるのかもしれない。
昴さんは過去の彼女に指輪を渡したのだろうかと、考えると胸が痛む。せっかくこんなに素敵なサプライズをしてくれているのに、私は過去の彼女に嫉妬して……何を思っているのだろう。
昴さん、そんなに慣れてるように指輪を選ばないで……