毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい
恥ずかしそうに蹲る昴さんについ、笑みが溢れた。
「良かったです。前の彼女と比較されていなくて。だって私、元カノが昴さんに言ったこと未だに根に持ってるんで」
「……根に持つ?」
「はい。彼女さんが昴さんに「早く死ぬかもしれないからイヤ」って暴言吐いたこと、今でも忘れてませんから。殴り飛ばしたい相手と重ねられたら傷つくに決まってます!」
昴さんは罰が悪そうに顔を歪めて息を吐いた。
「ごめん、俺、弱気になってて。そう思われてるかなって考えてただけで、言われてたとかはない。でも果林は、悩んでる俺を蹴り飛ばしてくれるから、そんなこと考えてる暇なさそうで、助かる」
あの時の会話を思い返すと、私が勝手に「言われたんでしょ!」と、決めつけていた気がする。
それに、いくら弱気になっていたとしても、昴さんを蹴り飛ばすわけない。
――だって、私はこの人とずっと一緒にいたいから。昴さんが私達を守ってくれるように、私もたくさんの安心を与えていける立ち場でいたいんだ。