眠れる森の王子は人魚姫に恋をした
たまには泊まりにおいでと誘ったのだが、今日は彼氏が待っているからと言うので真希ちゃんとは駅前で別れた。
真希ちゃんとたくさん話をしたからスッキリしたわ!
機嫌よく駅前のコンビニで明日の朝食にする為のパンと牛乳を買うと、レジ袋を下げながらアパートへと向かい歩き始めた。
真希ちゃんの彼氏ってどんな人なんだろう…。
恋人かぁ…。
私も彼氏欲しいなぁ…。
こないだの市ノ川さん、何気にカッコよかったかも…。
そうそう、ちょうどあそこのベンチで寝てる人みたいだったなぁ…。てか、寒波が来ている今夜、このまま寝ちゃったら凍死しちゃうわ!
「す…すみません、このままここで休まれていたら風邪をひきますし、凍死しちゃいますよ!」
ベンチで眠っていた男性がゆっくりと目を開ける。
あれ…?
この人って本物の市ノ川さんじゃ…。
「もしかして市ノ川さんですか?こんなところで眠っていたら、風邪をぶり返しますよ!」
虚な目をしながらもゆっくり口を動かす。
「あぁ…。市ノ川だが…。」
返事をした息がとても酒くさい。どうやら飲み過ぎてここで眠ってしまったようだ。
市ノ川さんはぼんやりと私を見つめていた。
鼻筋の通った切れ長の目。しばらく整った顔で見つめられると心臓がドクンっと大きく跳ねる。
「……ふ…み?」
「えっ?」
そう言うと彼は私を抱きしめて動かなくなってしまった。
お酒の臭い共に寝息が聞こえる。
い…市ノ川さんってばまた寝ちゃった!!
再度眠りについてしまった彼の体重はずしりと重みを増し動けなくなってしまった。
どうしたものかと考えていると、『迎車』と光らせた一台のタクシーが目の前で停まった。
「市ノ川様ですか?お待たせしました。」
ドアが開かれ、運転手が話しかけてきたのだ。
どうやら彼はただ酔っ払って寝ていたのではなくタクシーを待っていて眠ったしのだとわかった。
「今乗ります!市ノ川さん!起きてくださいっ!タクシーが来ましたよ!」
抱きしめられた状態で、肩を軽くパンパンと叩いて市ノ川さんを起こす。
「…あぁ、タクシーか。そういや、呼んでたな…。」
彼はゆっくりと体を起こしてフラフラと立ち上がった。
「フミも一緒に乗れ。」
フミ?さっきから誰かと間違えてるみたい…。
「いえ、私はここで失礼します。」
「礼をしたいだけだ。良いから黙って乗れ。」
腕を引っ張られそのまま強引にタクシーの中へ引き込まれてしまった。
一度はここで別れて帰宅しようと頭によぎったが、また、どこかで眠り込んでしまうのではないかと心配になった。
電車もまだ動いている時間だ。それなら、彼を自宅まで送り届けてから帰ろうと思い、そのまま彼の横に座った。
「行き先はご登録頂いているご自宅でよろしいですね?」
「ああ。お願いします。」
市ノ川さんの返事でタクシーはウィンカー出してゆっくりと動き出す。
そこから10分程、車内は沈黙に包まれ時折り車の揺れに合わせて先ほどコンビニで買った荷物のレジ袋の音だけがカシャカシャと聞こえた。
真希ちゃんとたくさん話をしたからスッキリしたわ!
機嫌よく駅前のコンビニで明日の朝食にする為のパンと牛乳を買うと、レジ袋を下げながらアパートへと向かい歩き始めた。
真希ちゃんの彼氏ってどんな人なんだろう…。
恋人かぁ…。
私も彼氏欲しいなぁ…。
こないだの市ノ川さん、何気にカッコよかったかも…。
そうそう、ちょうどあそこのベンチで寝てる人みたいだったなぁ…。てか、寒波が来ている今夜、このまま寝ちゃったら凍死しちゃうわ!
「す…すみません、このままここで休まれていたら風邪をひきますし、凍死しちゃいますよ!」
ベンチで眠っていた男性がゆっくりと目を開ける。
あれ…?
この人って本物の市ノ川さんじゃ…。
「もしかして市ノ川さんですか?こんなところで眠っていたら、風邪をぶり返しますよ!」
虚な目をしながらもゆっくり口を動かす。
「あぁ…。市ノ川だが…。」
返事をした息がとても酒くさい。どうやら飲み過ぎてここで眠ってしまったようだ。
市ノ川さんはぼんやりと私を見つめていた。
鼻筋の通った切れ長の目。しばらく整った顔で見つめられると心臓がドクンっと大きく跳ねる。
「……ふ…み?」
「えっ?」
そう言うと彼は私を抱きしめて動かなくなってしまった。
お酒の臭い共に寝息が聞こえる。
い…市ノ川さんってばまた寝ちゃった!!
再度眠りについてしまった彼の体重はずしりと重みを増し動けなくなってしまった。
どうしたものかと考えていると、『迎車』と光らせた一台のタクシーが目の前で停まった。
「市ノ川様ですか?お待たせしました。」
ドアが開かれ、運転手が話しかけてきたのだ。
どうやら彼はただ酔っ払って寝ていたのではなくタクシーを待っていて眠ったしのだとわかった。
「今乗ります!市ノ川さん!起きてくださいっ!タクシーが来ましたよ!」
抱きしめられた状態で、肩を軽くパンパンと叩いて市ノ川さんを起こす。
「…あぁ、タクシーか。そういや、呼んでたな…。」
彼はゆっくりと体を起こしてフラフラと立ち上がった。
「フミも一緒に乗れ。」
フミ?さっきから誰かと間違えてるみたい…。
「いえ、私はここで失礼します。」
「礼をしたいだけだ。良いから黙って乗れ。」
腕を引っ張られそのまま強引にタクシーの中へ引き込まれてしまった。
一度はここで別れて帰宅しようと頭によぎったが、また、どこかで眠り込んでしまうのではないかと心配になった。
電車もまだ動いている時間だ。それなら、彼を自宅まで送り届けてから帰ろうと思い、そのまま彼の横に座った。
「行き先はご登録頂いているご自宅でよろしいですね?」
「ああ。お願いします。」
市ノ川さんの返事でタクシーはウィンカー出してゆっくりと動き出す。
そこから10分程、車内は沈黙に包まれ時折り車の揺れに合わせて先ほどコンビニで買った荷物のレジ袋の音だけがカシャカシャと聞こえた。