眠れる森の王子は人魚姫に恋をした
月曜日。出社をすると直ぐに社員名簿を見つめていた。
レストランに来た女性社員は『芙美』であり『文』ではなかった。
高熱の中、ぼんやりと目に入った文字から『フミ』という名前だと思い込んだが、もしかすると読み方が違ったり、名前の一部分なのかもしれないと考え、『文』という漢字がつく35歳以下の女性で絞り込むと一つひとつ見落としがないように確認をした。
相沢 文江、公文 あゆみ、文園 香織、山口 文音…。
苗字と名前の両方で検索すると結構いるな…。
しかし、あの雪の日の勤怠時間と照らし合わせると、ほとんどの社員が定時前に退社していたので該当しそうな人物が5人までに絞り込めた。絞り込んだリストを印刷するとスーツのジャケットを羽織り黒田に内線を掛ける。
『はい、黒田です。いかがいたしましたか?』
電話機に表示された内線番号から俺だと判断したようだ。
「ちょっと席を外す。用がある場合は携帯に連絡くれ。」
『畏まりました。』
副社長室を出ると1階下の営業部へ行った。ここには『文』の字がつく社員が2名いた。
営業部長に近づきさりげなく会話を始めたのだが、俺が探している人物ではなかった。
よし、次は企画部と総務部だ。
立ち上がってエレベーター向かう。その途中に女子社員の群れがやってきた。
「副社長、週末はご馳走様した。とても美味しかったです。」
話しかけてきた社員を見ると、金曜の晩に食事をした矢部 芙美が笑顔で挨拶をしてきた。
一般的には美人の類に入るのだろうが、俺の趣味ではない。
「あぁ、口に合ったなら良かった。」
嫌な印象を与えないよう、笑顔で返事をした。
「また、お誘いいただけたら嬉しいです。」
「機会があれば是非。ちょっと急ぐのでまた…。」
次の機会なんてねぇーよ。と思いながらも社交辞令で返しその場を離れた。
背後では矢部と一緒にいた女子社員が騒がしく『副社長と知り合いなのっ!?』『食事ってどういう事!?』などと矢部を質問責めにしていた。しかし、彼女なりのマウントを取る作戦なのか『ふふふっ。内緒。』と含みのある返事をしていたのが俺に耳に聞こえた。
内緒もなにも隠すネタなんて無いのだが…。
きっと、俺と食事をしたことの自慢や他の女性社員へのアピールなんだろうと察した。
レストランに来た女性社員は『芙美』であり『文』ではなかった。
高熱の中、ぼんやりと目に入った文字から『フミ』という名前だと思い込んだが、もしかすると読み方が違ったり、名前の一部分なのかもしれないと考え、『文』という漢字がつく35歳以下の女性で絞り込むと一つひとつ見落としがないように確認をした。
相沢 文江、公文 あゆみ、文園 香織、山口 文音…。
苗字と名前の両方で検索すると結構いるな…。
しかし、あの雪の日の勤怠時間と照らし合わせると、ほとんどの社員が定時前に退社していたので該当しそうな人物が5人までに絞り込めた。絞り込んだリストを印刷するとスーツのジャケットを羽織り黒田に内線を掛ける。
『はい、黒田です。いかがいたしましたか?』
電話機に表示された内線番号から俺だと判断したようだ。
「ちょっと席を外す。用がある場合は携帯に連絡くれ。」
『畏まりました。』
副社長室を出ると1階下の営業部へ行った。ここには『文』の字がつく社員が2名いた。
営業部長に近づきさりげなく会話を始めたのだが、俺が探している人物ではなかった。
よし、次は企画部と総務部だ。
立ち上がってエレベーター向かう。その途中に女子社員の群れがやってきた。
「副社長、週末はご馳走様した。とても美味しかったです。」
話しかけてきた社員を見ると、金曜の晩に食事をした矢部 芙美が笑顔で挨拶をしてきた。
一般的には美人の類に入るのだろうが、俺の趣味ではない。
「あぁ、口に合ったなら良かった。」
嫌な印象を与えないよう、笑顔で返事をした。
「また、お誘いいただけたら嬉しいです。」
「機会があれば是非。ちょっと急ぐのでまた…。」
次の機会なんてねぇーよ。と思いながらも社交辞令で返しその場を離れた。
背後では矢部と一緒にいた女子社員が騒がしく『副社長と知り合いなのっ!?』『食事ってどういう事!?』などと矢部を質問責めにしていた。しかし、彼女なりのマウントを取る作戦なのか『ふふふっ。内緒。』と含みのある返事をしていたのが俺に耳に聞こえた。
内緒もなにも隠すネタなんて無いのだが…。
きっと、俺と食事をしたことの自慢や他の女性社員へのアピールなんだろうと察した。