眠れる森の王子は人魚姫に恋をした
企画部と総務部へ顔を出したが、該当する人物は見当たらなかった。
…ここもハズレか。
となると残りは社員食堂で働く長月 文一人。
これで決定だな…。
昼休みを待って社員食堂へと向かった。普段、外出が多いので社員食堂で食事をすることは滅多にない。黒田にも今日は社員食堂で食事をすると伝えると驚いていた。
ビュッフェの様にトレイに好きなものを載せていくスタイルの社員食堂は女性社員に人気がありデザートも充実していた。
厨房内で働くスタッフのエプロンに付けられているネームプレートを気にしながら進んだが『長月』と書かれた人物はいなかった。
今日は休みなのか??
とりあえず、空いている席に着くとまたもや矢部がやってきた。
「お疲れ様です。副社長が社員食堂にいらっしゃるなんて、珍しいですね。」
「今日は外出がないので、たまには良いかと思ってね。」
得意の作り笑いで返す。
「他にどなたかいらっしゃいます?」
「いや?僕一人ですが?」
「テーブルご一緒してもよろしいですか?」
「あぁ、もちろん。」
断って嫌な印象を持たれるくらいなら、許可してさっさと食事を終わらせ、退席しようと思った。
矢部が俺の向かいに座ると、彼女の仲間たちも集まってきた。
「今日は副社長とご縁があるようで嬉しいです。またお食事ご一緒できちゃった!副社長はどんなお料理が好きなんですか?私、手料理得意なんですよ~。」
レアキャラな俺に対して色々と質問をしてきたが、当たり障りのない返事を続ける。
会話を続けながらも俺の意識は長月 文を求めて食堂内を探していた。
…やはり、今日はいないのか。
彼女がいないなら、これ以上ここにいる意味はない。席を立とうとした時だった。
「お食事がお済みでしたらお下げいたしますよ。」
この声はっ!!!
慌てて後ろを振り返ると、探し求めていた雪の日の彼女がいた。エプロンに付けられていう名前は『長月』と書かれている。
間違いない!彼女だ!
「いや、大丈夫だ。自分でさげられるので場所だけ教えてくれ。」
「あっ……。はい。」
彼女は俺だと気づいたのか驚いた顔をして見上げていた。
「すまないが僕はこれで失礼する。君たちは食事を続けててくれ。」
矢部たち女子社員にそう告げると、席を立った。
「トレイはどこに運べよい?」
「えっと、こちらです。」
黙って彼女についていき、トレイと食器を分けて返却棚へと置く。
「長月さん、僕のこと覚えているよね?」
「えっ?…はい。」
「僕は二度も君に迷惑をかけている。是非、お詫びとして食事に誘いたいのだが、どうだろう?」
副社長の俺から誘われて断る奴なんていない。そう思っていた。
耳を赤くして俯く彼女が可愛らしくて、直ぐにでも抱きしめたい欲求を抑える。
「お詫びだなんて…。大したことしておりませんし、お気持ちだけいただきます。」
そう言うと彼女は俯きながらキッチンの方へと小走りで入って行ってしまった。
えっ…。
行っちゃったよ…。
女性に食事を断られるなんて、こんな経験は初めてだった。
やっとの思いで彼女を見つけ出したのに、食事のチャンスすらもらえなかった。
…ここもハズレか。
となると残りは社員食堂で働く長月 文一人。
これで決定だな…。
昼休みを待って社員食堂へと向かった。普段、外出が多いので社員食堂で食事をすることは滅多にない。黒田にも今日は社員食堂で食事をすると伝えると驚いていた。
ビュッフェの様にトレイに好きなものを載せていくスタイルの社員食堂は女性社員に人気がありデザートも充実していた。
厨房内で働くスタッフのエプロンに付けられているネームプレートを気にしながら進んだが『長月』と書かれた人物はいなかった。
今日は休みなのか??
とりあえず、空いている席に着くとまたもや矢部がやってきた。
「お疲れ様です。副社長が社員食堂にいらっしゃるなんて、珍しいですね。」
「今日は外出がないので、たまには良いかと思ってね。」
得意の作り笑いで返す。
「他にどなたかいらっしゃいます?」
「いや?僕一人ですが?」
「テーブルご一緒してもよろしいですか?」
「あぁ、もちろん。」
断って嫌な印象を持たれるくらいなら、許可してさっさと食事を終わらせ、退席しようと思った。
矢部が俺の向かいに座ると、彼女の仲間たちも集まってきた。
「今日は副社長とご縁があるようで嬉しいです。またお食事ご一緒できちゃった!副社長はどんなお料理が好きなんですか?私、手料理得意なんですよ~。」
レアキャラな俺に対して色々と質問をしてきたが、当たり障りのない返事を続ける。
会話を続けながらも俺の意識は長月 文を求めて食堂内を探していた。
…やはり、今日はいないのか。
彼女がいないなら、これ以上ここにいる意味はない。席を立とうとした時だった。
「お食事がお済みでしたらお下げいたしますよ。」
この声はっ!!!
慌てて後ろを振り返ると、探し求めていた雪の日の彼女がいた。エプロンに付けられていう名前は『長月』と書かれている。
間違いない!彼女だ!
「いや、大丈夫だ。自分でさげられるので場所だけ教えてくれ。」
「あっ……。はい。」
彼女は俺だと気づいたのか驚いた顔をして見上げていた。
「すまないが僕はこれで失礼する。君たちは食事を続けててくれ。」
矢部たち女子社員にそう告げると、席を立った。
「トレイはどこに運べよい?」
「えっと、こちらです。」
黙って彼女についていき、トレイと食器を分けて返却棚へと置く。
「長月さん、僕のこと覚えているよね?」
「えっ?…はい。」
「僕は二度も君に迷惑をかけている。是非、お詫びとして食事に誘いたいのだが、どうだろう?」
副社長の俺から誘われて断る奴なんていない。そう思っていた。
耳を赤くして俯く彼女が可愛らしくて、直ぐにでも抱きしめたい欲求を抑える。
「お詫びだなんて…。大したことしておりませんし、お気持ちだけいただきます。」
そう言うと彼女は俯きながらキッチンの方へと小走りで入って行ってしまった。
えっ…。
行っちゃったよ…。
女性に食事を断られるなんて、こんな経験は初めてだった。
やっとの思いで彼女を見つけ出したのに、食事のチャンスすらもらえなかった。