眠れる森の王子は人魚姫に恋をした
なんて言葉を返して良いのか詰まっていると、ドアがノックされ黒田さんが入ってきた。
「失礼します。お好みが分かりませんでしたので、比較的、女性が好きな紅茶にしました。」
目の前に白地に金の縁取りがされ、ブルーの花柄が綺麗なティーカップが置かれる。
「ありがとうございます。」
私が紅茶を一口飲むと、副社長は運んできた定食に箸をつけ食べ始めた。
先程、黒田さんが座っていた場所に私が座ってしまったので彼は食事をする副社長の後ろに立った状態で控えている。
気まずい気持ちに押しつぶされそうになりながらも、沈黙を壊す言葉は見つけられないでいた。
「…そう困った顔するなよ。」
副社長が食事をしながらチラッとこちらを見て言った。
「君が昨日、食事の誘いを断るからスマートに口説けなかったんだ。俺だって困ってる。」
まるで、私が悪いような物言いだ…。
「私と副社長では育った環境が違い過ぎます。なのでお付き合いなんて出来ません。」
「育った環境が違うってなんだ? 俺の何を知ってそんなことを言うんだ? 俺は好きになった女とただ一緒にいたいだけだ。」
「そんなこと言われましても…。」
再び沈黙が室内に広がる。
「副社長、長月さんは突然のことで驚かれていると思われます。明日の夜は会食などございませんので、長月さんのご予定が宜しければお食事を一緒にされてはいかがでしょうか?」
タブレットを見て、副社長のスケジュールを確認しながら黒田さんが助け舟を出してくれた。
「俺より彼女に言ってくれ。俺は一度断られている。」
もしかして、いじけているの⁉
副社長がさっさと諦めてくれればあっという間に解決することなのに。
どうやら、一度は食事に行かなければ気が済まないようだ。
「分かりました。明日の夜ですね。一度だけならご一緒させていただきます。」
その返事を聞くと副社長は箸を止め、今だ。とばかりにたたみかける。
「じゃあ、明日、仕事が終わる頃に迎えに行くから社員食堂の入り口で待ってろ。黒田、レストランの予約頼むな。よし、食べ終わったから持って帰っていいぞ。」
箸を置き黒田さんが持ってきたお茶を飲む副社長はとても機嫌が良くなったように見えた。
初めからこの流れに持っていくつもりだったのだろうか…。すっかり罠にかかってしまったような気がした。
「失礼します。お好みが分かりませんでしたので、比較的、女性が好きな紅茶にしました。」
目の前に白地に金の縁取りがされ、ブルーの花柄が綺麗なティーカップが置かれる。
「ありがとうございます。」
私が紅茶を一口飲むと、副社長は運んできた定食に箸をつけ食べ始めた。
先程、黒田さんが座っていた場所に私が座ってしまったので彼は食事をする副社長の後ろに立った状態で控えている。
気まずい気持ちに押しつぶされそうになりながらも、沈黙を壊す言葉は見つけられないでいた。
「…そう困った顔するなよ。」
副社長が食事をしながらチラッとこちらを見て言った。
「君が昨日、食事の誘いを断るからスマートに口説けなかったんだ。俺だって困ってる。」
まるで、私が悪いような物言いだ…。
「私と副社長では育った環境が違い過ぎます。なのでお付き合いなんて出来ません。」
「育った環境が違うってなんだ? 俺の何を知ってそんなことを言うんだ? 俺は好きになった女とただ一緒にいたいだけだ。」
「そんなこと言われましても…。」
再び沈黙が室内に広がる。
「副社長、長月さんは突然のことで驚かれていると思われます。明日の夜は会食などございませんので、長月さんのご予定が宜しければお食事を一緒にされてはいかがでしょうか?」
タブレットを見て、副社長のスケジュールを確認しながら黒田さんが助け舟を出してくれた。
「俺より彼女に言ってくれ。俺は一度断られている。」
もしかして、いじけているの⁉
副社長がさっさと諦めてくれればあっという間に解決することなのに。
どうやら、一度は食事に行かなければ気が済まないようだ。
「分かりました。明日の夜ですね。一度だけならご一緒させていただきます。」
その返事を聞くと副社長は箸を止め、今だ。とばかりにたたみかける。
「じゃあ、明日、仕事が終わる頃に迎えに行くから社員食堂の入り口で待ってろ。黒田、レストランの予約頼むな。よし、食べ終わったから持って帰っていいぞ。」
箸を置き黒田さんが持ってきたお茶を飲む副社長はとても機嫌が良くなったように見えた。
初めからこの流れに持っていくつもりだったのだろうか…。すっかり罠にかかってしまったような気がした。