眠れる森の王子は人魚姫に恋をした
次の日、仕事が終わると手紙に書かれていたカフェへと緊張しながら向かった。当然、スイスにいる航希はカフェにやってこないが、わざわざお店を指定するのだから、きっとお客さんに紛れて別れ話を確認しに来るのだと思い、真希ちゃんと相手を突き止めてやろうということになった。そして施設の取り壊しについて問いただそうと決めたのだ。
『お店に着いたからいつでもこっちに来ていいよ!』
鞄に入れていたスマホが震えたので画面を確認すると真希ちゃんからのメッセージだった。
…大丈夫。真希ちゃんが側にいてくれる。
指定されたカフェは職場から近く10分ほどでついた。お店の中に入ると真希ちゃんが男の人とケーキを食べているのが目に入った。
誰だろう…。
『一緒にいるのは誰??』
オーダーする列に並ぶと真希ちゃんにメッセージを送った。
『彼氏の健くんと一緒に来たの。何かあった時に男がいた方が良いんじゃないかって、来てくれた。』
大好きな真希ちゃんの旦那さんになる人との初対面がこんな場面で本当に申し訳ない。もっと良い出会い方をしたかった。
『ありがとう。彼氏さんにもお礼言っておいて!』
手短に返信をすると直ぐにオーダーの順番が回ってきたので、アイスカフェラテを頼むとビバレッジ受け取りカウンターでカップを受け取ってから、長時間居ても苦にならなそうなソファー席を選んで座った。
さて…。これからどうしようか…。
私たち二人に作戦なんてものは何もない。とりあえず呼び出された場所に行けば、手紙を送り付けた人物が現れるだろうと安易に考えていたし、一人ではないのでまるで探偵にでもなった気分になり、どこか楽しんでいる部分もあった。
『これからどうする?』
真希ちゃんにメッセージを送る。
『とりあえず、うちら二人で文の事を気にする怪しい人物がいないか観察してみるから普通にしてて!!』
『OK!』
真希ちゃんとの会話が終わると、スマホをテーブルの上に置き、駅前に置いてあったフリーペーパーを取り出して読むふりをした。周りにはラップトップPCを広げて作業をしているサラリーマンや学生、友達とおしゃべりを楽しんでいる女性たちなど様々いたがとりわけ怪しそうな人物は見当たらない。
まだ、ここに来ていないのだろうか…。
フリーペーパーも読み返すのが3周目入ったころ、知ってる人が店に入ってきたのだ。
その人物に気づいたタイミングで、ブブッっとスマホが震えた。
『あれ、西田じゃない!?』
どうやら、真希ちゃんも気づいたようだった。
『偶然かなぁ…?』
素早く返信メッセージを送る。
『案外西田が犯人だったり!?こないだ、食堂でずっと見られてたって言ってたじゃん?ついに西田のやつストーカーにでもなったかっ!?』
最後に会話をした西田くんは高校生の時のことを本気で謝ってくれていた。そんな彼が再び嫌がらせをするだなんてあるのだろうか? 西田くんに気づいていない振りをしてフリーペーパーのページをぺらぺらとめくり読んでいるふりを続ける。
『西田、チラチラと文の事を見てる気がする!健くんも同じ意見。』
やはり犯人は西田くんで決定なのかな…?
『あと10分くらいしたらお店を出てみる。西田くんがどうするのか真希ちゃん見てて!』
このままお店にいたとしてもスイスに出張中の航希はやってこない。彼が犯人ならば何か行動を起こすかもしれないと思ったのだ。時間を気にしながら身支度をはじめ店を出る準備をした。
…さぁ、西田くんはどうする?
心を決めて席を立ち、西田くんには気づかない振りをしたままお店を出るととりあえず駅の方角へと向かった。
鞄の中でスマホが震える。きっと真希ちゃんだ。先ほどしまったばかりのスマホを取り出そうと立ち止まると誰かに肩を掴まれた。
「きゃっ!」
振り返ると西田くんが立っていた。
「悪い、長月。驚かせるつもりじゃないんだ…。ただ…ちょっと気になって。」
西田くんの後ろには真希ちゃんと彼氏の健くんが追いかけてくれていた。
「園田先輩。なんでここに…。」
園田とは真希ちゃんの苗字だ。高校を卒業して以来顔を併せなかった真希ちゃんが自分の後ろにいたので西田くんは目を丸く見開いて驚いた顔をしていた。
「…西田。あんた、いい年してまだ文に嫌がらせをするつもり?」
高校時代、真希ちゃんが直接西田くんに文句を言ってくれたこともあるので二人に面識はあった。
「嫌がらせ何てしてない…。」
「じゃあ、何であんな手紙を文に送り付けたのよ??」
「手紙?俺は手紙何て知らない…。一体なんのことやら…。」
西田くんは本当に知らなさそうな顔をしていた。
「それなら何で西田くんはあのカフェにいたの!?」
「それは…。会社で偶然あのカフェでやってる期間限定ドリンクの話題になって、なんとなく帰りに立ち寄ったんだ。そしたら、長月を見つけて話がしたくてタイミングを計っていたんだけど、店を出てしまったからこうやって追いかけてきた。」
犯人は西田くんじゃなかったのか…。
「僕は彼が嘘を言っているように見えないけど…。」
真希ちゃんの彼が言う通り表情からして嘘を言っているように見えなかった。
「手紙っていったい何なんだ?何かあったのか? …長月、ただ二人で話がしたいだけなんだ。」
「二人で話なんて絶対にダメよっ!私はあんたの事を信用していないのっ!!そんな奴と二人だなんて…。」
「真希、文ちゃんが心配なのはわかるけど落ち着いて。西田くんだっけ?申し訳ないんだけどこっちにも少し事情があってね…。詳しく話すから4人で話しをするのはどうだろう?」
「そうですね。僕も長月の事が心配なので是非聞かせていただきたいです。そして、僕の話もちゃんと長月と話がしたい。」
チラッと西田くんは私の顔をみた。
「分かったわ。」
私が承諾すると健くんは個室のあるイタリアンレストランに電話をし部屋を抑えてくれた。『おなかがすくとイライラするから、ゆっくりと食事をしながら話そう。』と健くんが提案してくれた。
『お店に着いたからいつでもこっちに来ていいよ!』
鞄に入れていたスマホが震えたので画面を確認すると真希ちゃんからのメッセージだった。
…大丈夫。真希ちゃんが側にいてくれる。
指定されたカフェは職場から近く10分ほどでついた。お店の中に入ると真希ちゃんが男の人とケーキを食べているのが目に入った。
誰だろう…。
『一緒にいるのは誰??』
オーダーする列に並ぶと真希ちゃんにメッセージを送った。
『彼氏の健くんと一緒に来たの。何かあった時に男がいた方が良いんじゃないかって、来てくれた。』
大好きな真希ちゃんの旦那さんになる人との初対面がこんな場面で本当に申し訳ない。もっと良い出会い方をしたかった。
『ありがとう。彼氏さんにもお礼言っておいて!』
手短に返信をすると直ぐにオーダーの順番が回ってきたので、アイスカフェラテを頼むとビバレッジ受け取りカウンターでカップを受け取ってから、長時間居ても苦にならなそうなソファー席を選んで座った。
さて…。これからどうしようか…。
私たち二人に作戦なんてものは何もない。とりあえず呼び出された場所に行けば、手紙を送り付けた人物が現れるだろうと安易に考えていたし、一人ではないのでまるで探偵にでもなった気分になり、どこか楽しんでいる部分もあった。
『これからどうする?』
真希ちゃんにメッセージを送る。
『とりあえず、うちら二人で文の事を気にする怪しい人物がいないか観察してみるから普通にしてて!!』
『OK!』
真希ちゃんとの会話が終わると、スマホをテーブルの上に置き、駅前に置いてあったフリーペーパーを取り出して読むふりをした。周りにはラップトップPCを広げて作業をしているサラリーマンや学生、友達とおしゃべりを楽しんでいる女性たちなど様々いたがとりわけ怪しそうな人物は見当たらない。
まだ、ここに来ていないのだろうか…。
フリーペーパーも読み返すのが3周目入ったころ、知ってる人が店に入ってきたのだ。
その人物に気づいたタイミングで、ブブッっとスマホが震えた。
『あれ、西田じゃない!?』
どうやら、真希ちゃんも気づいたようだった。
『偶然かなぁ…?』
素早く返信メッセージを送る。
『案外西田が犯人だったり!?こないだ、食堂でずっと見られてたって言ってたじゃん?ついに西田のやつストーカーにでもなったかっ!?』
最後に会話をした西田くんは高校生の時のことを本気で謝ってくれていた。そんな彼が再び嫌がらせをするだなんてあるのだろうか? 西田くんに気づいていない振りをしてフリーペーパーのページをぺらぺらとめくり読んでいるふりを続ける。
『西田、チラチラと文の事を見てる気がする!健くんも同じ意見。』
やはり犯人は西田くんで決定なのかな…?
『あと10分くらいしたらお店を出てみる。西田くんがどうするのか真希ちゃん見てて!』
このままお店にいたとしてもスイスに出張中の航希はやってこない。彼が犯人ならば何か行動を起こすかもしれないと思ったのだ。時間を気にしながら身支度をはじめ店を出る準備をした。
…さぁ、西田くんはどうする?
心を決めて席を立ち、西田くんには気づかない振りをしたままお店を出るととりあえず駅の方角へと向かった。
鞄の中でスマホが震える。きっと真希ちゃんだ。先ほどしまったばかりのスマホを取り出そうと立ち止まると誰かに肩を掴まれた。
「きゃっ!」
振り返ると西田くんが立っていた。
「悪い、長月。驚かせるつもりじゃないんだ…。ただ…ちょっと気になって。」
西田くんの後ろには真希ちゃんと彼氏の健くんが追いかけてくれていた。
「園田先輩。なんでここに…。」
園田とは真希ちゃんの苗字だ。高校を卒業して以来顔を併せなかった真希ちゃんが自分の後ろにいたので西田くんは目を丸く見開いて驚いた顔をしていた。
「…西田。あんた、いい年してまだ文に嫌がらせをするつもり?」
高校時代、真希ちゃんが直接西田くんに文句を言ってくれたこともあるので二人に面識はあった。
「嫌がらせ何てしてない…。」
「じゃあ、何であんな手紙を文に送り付けたのよ??」
「手紙?俺は手紙何て知らない…。一体なんのことやら…。」
西田くんは本当に知らなさそうな顔をしていた。
「それなら何で西田くんはあのカフェにいたの!?」
「それは…。会社で偶然あのカフェでやってる期間限定ドリンクの話題になって、なんとなく帰りに立ち寄ったんだ。そしたら、長月を見つけて話がしたくてタイミングを計っていたんだけど、店を出てしまったからこうやって追いかけてきた。」
犯人は西田くんじゃなかったのか…。
「僕は彼が嘘を言っているように見えないけど…。」
真希ちゃんの彼が言う通り表情からして嘘を言っているように見えなかった。
「手紙っていったい何なんだ?何かあったのか? …長月、ただ二人で話がしたいだけなんだ。」
「二人で話なんて絶対にダメよっ!私はあんたの事を信用していないのっ!!そんな奴と二人だなんて…。」
「真希、文ちゃんが心配なのはわかるけど落ち着いて。西田くんだっけ?申し訳ないんだけどこっちにも少し事情があってね…。詳しく話すから4人で話しをするのはどうだろう?」
「そうですね。僕も長月の事が心配なので是非聞かせていただきたいです。そして、僕の話もちゃんと長月と話がしたい。」
チラッと西田くんは私の顔をみた。
「分かったわ。」
私が承諾すると健くんは個室のあるイタリアンレストランに電話をし部屋を抑えてくれた。『おなかがすくとイライラするから、ゆっくりと食事をしながら話そう。』と健くんが提案してくれた。