眠れる森の王子は人魚姫に恋をした
施設の取り壊しが行われることに悲しんでいたので俺なりに調査を始めていた。話を聞く限り不自然だらけだったからだ。普通なら何年も前から説明会を開き今後の子どもたちの移動先をどうするだの話し合いが行われるはずだ。それなのに紙切れ一枚届いただけで問い合わせにどこも応じないなんて明らかに圧力が掛けられている。コンプライアンスがどうのと世間では騒がれるようになったが、未だに権力による圧力や忖度は普通に行われているところもあるのが現実。
俺だって無駄に御曹司をやっていない。なんだかんだと親父にくっついてお偉いさんたちと顔見知りになっていた。休日だってやりたくもないゴルフに参加して情報を集めることもある。黒田に命じて文の育った施設について調べさせていた。
「この件には中村 忠彦という人物からの指示だそうです。」
数日で施設の取り壊しを推し進めている人物の特定ができた。
「予想通りだったな。」
中村は矢部芙美の父親である国会議員の矢部喜八郎の秘書をしていた。
「主犯は矢部さんの方でしょうか??」
「主犯が矢部議員だとしても動機は娘だろう…。」
「副社長にフラれたのが余程頭に来たのでしょうか?」
「どうだろうな。御曹司あるあるの一つだが…。」
「相変わらずおオモになりますね。」
くすりと黒田は笑った。
「こんなのにモテてもしかないんだ。俺は文だけがいれば良い。まだ、何か動機があるかもしれないから引き続き調べておいてくれ。」
「はい、畏まりました。」
文が俺に助けを求めてきた時に直ぐに施設自体を俺の名義にできるよう準備をしていた。それなのにあれ以来、文は施設について何の相談もしてこなかった。
スイスの出張から帰国し、直ぐに文に会いに行こうとしたが避けられているのかなかなか連絡が取れないでいた。
避けられている理由は一体なんだ?
全くわからなっかった。こんな事ならスイスに一緒に連れて行けばよかったと後悔したくらいだ。
無理やり別荘に連れ込んだ時は嫌われている感じはしなかった。むしろ逆だ。俺は文に愛されていると確信した。
何故、文は俺に相談をしてくれない? 何か別に問題があるのか??
別荘でまったり過ごしていると黒田から着信があった。
「…文との時間を邪魔するくらい緊急なんだろうな??」
「はい、まぁ、色々と動きがございまして…。」
黒田の掴んだ情報によるとここ数日、文は自宅に帰っていないという話だった。
どこに泊ってるんだ?
「それから、矢部議員の秘書が銀行関係にうちに融資をするなと触れ回っているようです。新商品の認可もするなと…。」
どうやら施設に加えて俺の方にも手を出してきたみたいだな。
こんな嫌がらせは時々ライバル会社などから行われている。俺にとっては日常茶飯事だ。
文が家に帰れない理由…。
一人でいられない理由…。
自宅に何か送り付けられているのか?
「明日、新商品の認可の件は早めにそっちに戻るから親父にアポ取っておいてくれ。」
「承知しました。」
どうせ自宅に戻れないならば俺のマンションで生活すればいいのに。ゆくゆくはそうするつもりだなのだから少し早まるだけだ。なんの遠慮もいらない。
別荘から文を自宅に送り届けた後、実家にいる親父に会いに行き、おそらく矢部議員が何か関わっていると報告をする。もちろん、娘から言い寄られた件も含めて伝えた。
「女を一人守れないで何百人もの社員を守れるのか?お前が未熟だから私がなかなか引退できん。」
「大丈夫です。ちゃんと巻き返しますよ。引退後の旅行先でも母さんと相談してろよ。」
「そりゃ、楽しみだな。」
いつまでも子ども扱いをしてくる親父の態度が気に入らない。いつも小ばかにしてからかってくるのでイライラする。
文の顔でも見て帰るか…。
文が側にいるだけで棘だった感情が安らぐのだ。そう思って彼女のアパートまで行ったのだが、見覚えのある男の車に乗るところだった。男の方は嬉しそうな顔をいているが、文の方はそれとは逆に青ざめたような表情をしていた。
あいつは確か高校の同級生…。
…あの男に脅迫でもされているのか?
急いで黒田に電話をし、『西田 誠』を調べさせた。
俺だって無駄に御曹司をやっていない。なんだかんだと親父にくっついてお偉いさんたちと顔見知りになっていた。休日だってやりたくもないゴルフに参加して情報を集めることもある。黒田に命じて文の育った施設について調べさせていた。
「この件には中村 忠彦という人物からの指示だそうです。」
数日で施設の取り壊しを推し進めている人物の特定ができた。
「予想通りだったな。」
中村は矢部芙美の父親である国会議員の矢部喜八郎の秘書をしていた。
「主犯は矢部さんの方でしょうか??」
「主犯が矢部議員だとしても動機は娘だろう…。」
「副社長にフラれたのが余程頭に来たのでしょうか?」
「どうだろうな。御曹司あるあるの一つだが…。」
「相変わらずおオモになりますね。」
くすりと黒田は笑った。
「こんなのにモテてもしかないんだ。俺は文だけがいれば良い。まだ、何か動機があるかもしれないから引き続き調べておいてくれ。」
「はい、畏まりました。」
文が俺に助けを求めてきた時に直ぐに施設自体を俺の名義にできるよう準備をしていた。それなのにあれ以来、文は施設について何の相談もしてこなかった。
スイスの出張から帰国し、直ぐに文に会いに行こうとしたが避けられているのかなかなか連絡が取れないでいた。
避けられている理由は一体なんだ?
全くわからなっかった。こんな事ならスイスに一緒に連れて行けばよかったと後悔したくらいだ。
無理やり別荘に連れ込んだ時は嫌われている感じはしなかった。むしろ逆だ。俺は文に愛されていると確信した。
何故、文は俺に相談をしてくれない? 何か別に問題があるのか??
別荘でまったり過ごしていると黒田から着信があった。
「…文との時間を邪魔するくらい緊急なんだろうな??」
「はい、まぁ、色々と動きがございまして…。」
黒田の掴んだ情報によるとここ数日、文は自宅に帰っていないという話だった。
どこに泊ってるんだ?
「それから、矢部議員の秘書が銀行関係にうちに融資をするなと触れ回っているようです。新商品の認可もするなと…。」
どうやら施設に加えて俺の方にも手を出してきたみたいだな。
こんな嫌がらせは時々ライバル会社などから行われている。俺にとっては日常茶飯事だ。
文が家に帰れない理由…。
一人でいられない理由…。
自宅に何か送り付けられているのか?
「明日、新商品の認可の件は早めにそっちに戻るから親父にアポ取っておいてくれ。」
「承知しました。」
どうせ自宅に戻れないならば俺のマンションで生活すればいいのに。ゆくゆくはそうするつもりだなのだから少し早まるだけだ。なんの遠慮もいらない。
別荘から文を自宅に送り届けた後、実家にいる親父に会いに行き、おそらく矢部議員が何か関わっていると報告をする。もちろん、娘から言い寄られた件も含めて伝えた。
「女を一人守れないで何百人もの社員を守れるのか?お前が未熟だから私がなかなか引退できん。」
「大丈夫です。ちゃんと巻き返しますよ。引退後の旅行先でも母さんと相談してろよ。」
「そりゃ、楽しみだな。」
いつまでも子ども扱いをしてくる親父の態度が気に入らない。いつも小ばかにしてからかってくるのでイライラする。
文の顔でも見て帰るか…。
文が側にいるだけで棘だった感情が安らぐのだ。そう思って彼女のアパートまで行ったのだが、見覚えのある男の車に乗るところだった。男の方は嬉しそうな顔をいているが、文の方はそれとは逆に青ざめたような表情をしていた。
あいつは確か高校の同級生…。
…あの男に脅迫でもされているのか?
急いで黒田に電話をし、『西田 誠』を調べさせた。