眠れる森の王子は人魚姫に恋をした
「副社長、幸運なことに社内に『フミ』という女性社員は1名だけでした。金曜の夕食にアポを取りましたのでよろしくお願いします。」
午後一で出社すると得意げに黒田が報告にやってきた。
歩道には雪が残るものの、大通りの雪は車のタイヤに踏み潰されて既にアスファルトが剥き出しになっていた。お陰で予定通りに出社ができた。
「そうか、金曜の夜だな。いつものレストランを個室で予約してくれ。」
ほらな、直ぐに会える。
予想通りの展開に口角が上がる。
「畏まりました。…それから、体調はいかがですか?」
「ああ、だいぶ良くなった。夜の商談はリスケしなくていい。」
「承知しました。」
午後の予定を互いに確認し終えると黒田は秘書室へと戻っていった。
俺はパソコンに向かい届いたメールの確認を始める。
しかし、メールを読んでいるはずなのにフミとの食事のことを考えてしまい何故だか頭に入らない。
……ワクワクしてるのか?
……俺は中学生か!?
自分の意外な思考に吹き出して笑った。
この年になって女1人と会うだけで何を楽しみにしているんだ…。
普段は玉の輿目当てで寄ってくる女どもを不快に感じていた。
付き合いで行く食事でさえ面倒だと思っている。
だから、どこからやってくるのか分からない胸が高鳴る感覚がとても新鮮だった。
午後一で出社すると得意げに黒田が報告にやってきた。
歩道には雪が残るものの、大通りの雪は車のタイヤに踏み潰されて既にアスファルトが剥き出しになっていた。お陰で予定通りに出社ができた。
「そうか、金曜の夜だな。いつものレストランを個室で予約してくれ。」
ほらな、直ぐに会える。
予想通りの展開に口角が上がる。
「畏まりました。…それから、体調はいかがですか?」
「ああ、だいぶ良くなった。夜の商談はリスケしなくていい。」
「承知しました。」
午後の予定を互いに確認し終えると黒田は秘書室へと戻っていった。
俺はパソコンに向かい届いたメールの確認を始める。
しかし、メールを読んでいるはずなのにフミとの食事のことを考えてしまい何故だか頭に入らない。
……ワクワクしてるのか?
……俺は中学生か!?
自分の意外な思考に吹き出して笑った。
この年になって女1人と会うだけで何を楽しみにしているんだ…。
普段は玉の輿目当てで寄ってくる女どもを不快に感じていた。
付き合いで行く食事でさえ面倒だと思っている。
だから、どこからやってくるのか分からない胸が高鳴る感覚がとても新鮮だった。